肌がかさつくときに疑うべきは、内臓の炎症!?

肌がかさつくときに疑うべきは、内臓の炎症!?

肌の水分量を測ることで病気を早期発見

肌の乾燥に悩みを持つ人も多いでしょう。実は昨今、肌の乾燥は加齢や湿度の低下などの要因以外にも、大腸炎や小腸炎、関節炎などさまざまな生体内の炎症により引き起こされる場合があることがわかってきました。これを立証するために、マウスの生体内に人為的に炎症を起こし、皮膚水分測定器で肌の水分量を調べ、炎症と肌の水分量の相関関係を調べる研究が進められています。相関関係が立証できれば、見た目には異常がなくても、肌の水分量を測ることで病気を早期発見できる可能性が出てきます。

臓器が肌をコントロールする!?

あきらかに肌の病気でもなく、肌がすごく赤くなっているわけでもないにもかかわらず、「かゆみ」の症状が出る場合、皮膚科医でも原因の判断がつかないこともあります。しかし、「肌がかゆい」という症状はなかなか耐え難く、その人のQOL(生活の質)を格段に下げてしまうため、解決していかなければならないものです。そのときに、体内の炎症がかゆみを引き起こすことが広く知れわたっていれば、炎症を止めるという根本的な治療を行うことができます。ところが、体の中で炎症を起こしている臓器が肌をコントロールしているということは、まだそれほど知られていないのが現状です。

一番身近な臓器を観察し治療に役立てる

肌は、毎日自分で見て、触ることができる、一番身近な臓器にもかかわらず、意外と研究が進んでいない分野です。見た目には何も変わってはいなくても、肌の水分量が極端に少ない人は実は結構多いのです。血圧計、体温計と同じように、体調不良を感じたらまず皮膚水分測定器で肌の水分量を測れば、わかることもあります。肌の変化は、病気を予見しているからです。今後、もっと幅を広げてさまざまな疾患を対象として研究を続けていけば、その疾患が肌と関係があるかどうかを細かく分類でき、治療にも役立てていくことができるはずです。

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鈴鹿医療科学大学 薬学部 薬学科 教授 大井 一弥 先生

鈴鹿医療科学大学 薬学部 薬学科 教授 大井 一弥 先生

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薬学

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メッセージ

あなたが薬学部で学びたいと思うなら、ぜひ学生時代に薬学に関すること以外も勉強し、本を読んでください。薬剤師は、患者さんや医師、他の医療従事者といかにコミュニケーションを取れるかが大事です。人間が相手なので、マニュアル通りにやろうと思うと逆にトラブルになることもあります。目の前の相手と雑談ができるような教養をつけておく必要があります。
また、現在私が行っている肌の変化で病気の予見をするという研究は、まだまだ未解明な部分も多く、これからが楽しみな研究です。ぜひ一緒に取り組んでみませんか?

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本学は、健康・医療・福祉分野における連携・協調が極めて大切であるとの考えのもと、日本初の4年制医療系大学として1991年に開学しました。保健衛生学部(放射線技術科・医療栄養・臨床検査・リハビリテーション・医療福祉・鍼灸サイエンス・救急救命)、医用工学部(臨床工・医療健康データサイエンス)、薬学部、看護学部の医療・福祉系4学部11学科を有する「医療と福祉の総合大学」です。医療に関する幅広い知識と豊かな人間性を育むとともに、学科を越えた交流でチーム医療を担う各領域のスペシャリストを養成しています。