講義No.01970 薬学

慎重なステップを踏んで実験する薬理学

慎重なステップを踏んで実験する薬理学

病気に効くことを証明

薬理学は、薬がなぜ効くのかを突き詰めていく学問です。もっと効く薬が作れる可能性を提示したり、新しい効果があることを証明したりすることもあります。例えば、血圧を下げる薬を投与すると、血圧が下がるだけではなく、心臓や腎臓にもよい影響があったり、糖尿病を防ぐ効果が出たりすることがあります。医師は経験的にその薬がほかの病気にも効果があることを知っていても、効くことが実際に証明されないと患者に投薬することができません。

世の中に出る薬は、約2万分の1

薬がなぜ効くかを証明するために、薬理学では実験を行います。まず細胞レベルでの実験を行います。細胞の中でどのようなことが起こっているのかを、遺伝子やたんぱく質、イオン、電解質にいたるまで調べます。細胞レベルで証明したら、動物実験を行います。例えば、高血圧の薬が動物に本当に効くのかを検証します。動物実験で効くことが証明できてはじめて人間に対しての研究に移ります。
人間を対象とした実験では段階を踏みます。もし副作用が強くて、体調が悪くなる人がひとりでも出ないようにするためです。まずは健康な人が対象。何錠飲めばいいのか、副作用は出ないか、中毒はないかなどをチェックします。次の段階では、例えば高血圧の薬であれば高血圧の症状だけで、ほかの病気がない患者に投与します。ほかの病気にかかっていると、薬と高血圧の関係が正確にわからないからです。この段階は数百人程度を研究します。それが終わると、複数の病気にかかっている人を対象とします。最終段階では数千人ぐらいの人が参加します。そのほかに、これまでに作られた薬との比較をします。長く効くとか、副作用がより少ないとか、これまでの薬より優れている必要があります。このように慎重に段階を踏んで実験されている薬は年間で15,000~20,000種類、実際に人間を対象とした実験まで行われるのは、そのうちの10例程度。最終的に世の中に出るのは、たったひとつぐらいなのです。

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香川大学 医学部 医学科 教授 西山 成 先生

香川大学 医学部 医学科 教授 西山 成 先生

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香川大学では、診療と研究と教育の3つを並行して行っています。一生懸命勉強して、地域医療や先端医療に貢献しようというモチベーションの高い学生がたくさんいます。もちろん、勉強だけでなく、クラブ活動などにも力をいれて楽しい学生生活を送っている人も多くいます。医師と一緒になって社会貢献できる環境なので、これからも志の高い人と研究を進めていきたいと考えています。

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瀬戸内の温暖な気候と豊かな自然にはぐくまれた香川大学は、6学部8研究科(専門職大学院を含む)を擁し、専門分野のバランスがよい総合大学に発展しており、それらの機能を活かし、創造性豊かな人材を養成します。また、「出口から見た教育の重視」をかかげ、教育の質を向上させ、国際的にも活躍できる人材の養成に努めます。