「気が利く」コンピュータは実現するか?

「気が利く」コンピュータは実現するか?

邪魔するコンピュータ

インターネットを楽しんだ後に、頭を勉強モードに切り替えて課題の調べ物をしようとしたのに、さっきまで見ていたページに関連する広告が出てきて気になってしまうことはありませんか? また、作業しようとした途端にアップデートが始まって、セットアップに時間がかかって使えなかったりすることもあります。人間の行動を察して、コンピュータが「気を利かせてくれる」ようになれば便利です。

無意識的な情報を察知

コンピュータ操作時に広告が出た時の人の反応を調べた実験があります。横に小さく出す、真ん中に出す、クリックをしないと消えない、など段階的に広告を出し、姿勢やマウスの反応などの非接触で測れる変化を計測したところ、広告のストレスが強いほど瞳孔が開くという変化が見られました。
現在、コンピュータは人間が明示的に入力した情報をもとに動いています。それに対して、瞳孔などの反応を情報として察知できれば、コンピュータが「気を利かせる」ようになるはずです。キーボードをたたく速度から忙しさを察知して広告を出すのを控えたり、セットアップ時の入力がゆっくりならコンピュータに不慣れな人だから初心者向けに設定したりするなども考えられます。コンピュータが人間のことを見て、それに合わせて動きを変えてくれれば、より使いやすくなるはずです。

反応を探し出す

そのために現在は、無意識的な情報には何が適しているかの研究が進められています。人の反応には個性が出るため、誰にでも共通する反応を絞り込むのは大変困難です。1回目の実験で、ある反応に着目したら、さらに内容を洗練させた実験を繰り返し、有効な反応を探していきます。使用する計測機器は、専門的で高度なものではなく、実際にノートパソコンに装備できる機器を使わなければ実用化には至りません。すでに多くのパソコンに搭載されているカメラや指紋認証、さらに搭載される可能性のある視線センサーなどを加えて実験が行われています。

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鳥取大学 工学部 電気情報系学科 准教授 清水 忠昭 先生

鳥取大学 工学部 電気情報系学科 准教授 清水 忠昭 先生

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メッセージ

私はロボットの勉強がしたくて工学部に入りましたが、入ってみるとロボットに関わる学問の裾野の広さに驚きました。これは、どの分野でも同じだと思います。目的を持たずに大学に入ってしまうと、たくさんの学問の中から何を選べばよいかわからなくなりますが、あまりにも細かく決めすぎても、一致する学問がなくなってしまいます。
興味のあることの大枠を決めて大学に入り、たくさんの授業を受けて、ある程度経験を積みながら、自分の専門を絞り込んでいくのがいいでしょう。

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鳥取大学は、教育研究の理念に「知と実践の融合」を掲げ、高等教育の中核としての大学の役割である、人格形成、能力開発、知識の伝授、知的生産活動、文明・文化の継承と発展等に関する学問を教育・研究し、知識のみに偏重することなく、実践できる能力をつけるように努力しています。また、研究・教育拠点、幅広い専門的職業人の養成、地域の生涯学習機会の拠点、社会貢献機能など個性輝く大学を目ざし、地方大学にこそ求められるオンリーワンの研究開発を行い、社会に貢献し、国際的競争力を確保できる大学運営を目ざしています。