電気の未来はみんなの未来 持続可能なエネルギーを広めるには?

持続可能なエネルギーへの転換
日本はエネルギー自給率が約13%と低く、持続可能なエネルギー社会への転換が急務となっています。地球温暖化対策だけでなく、何十世代先の未来まで見据えた自然エネルギー活用の方法を研究することは、資源の少ない日本にとって特に重要な課題です。
現在、太陽光発電や風力発電の導入が進んでいますが、これらが電力系統に大量に導入されると電気の品質に影響を与えるという課題があります。このため、再生可能エネルギーが大量に導入されても電気の品質を一定に保つシステムの研究や、電力システムのモニタリング技術の研究が行われています。
新たな技術が変える私たちの暮らし
発電技術のさらなる革新によって、私たちの暮らしは大きく変わる可能性があります。例えば、フィルム状の「ペロブスカイト型太陽電池」が普及すれば、家の屋根だけでなく壁面や車のボンネット、電柱など、あらゆる場所が発電所になる可能性があります。また、高速道路に「充電レーン」ができれば、電気自動車が走りながら充電できるようになります。さらに、土の中の微生物が、有機物を分解する際に放出する電子を集めて電気として利用する「微生物発電」という技術も研究されています。この技術を使えば、家庭から出る生ごみをコンポストで分解しながら電気を取り出すことができるのです。
体験で広がるエネルギーの理解
エネルギー問題を解決するには、人々の理解や協力が欠かせません。しかし、電気やエネルギーに関係する新しい技術や課題は、一般の人々にはあまり知られていません。そこで、小学生から高齢者まで幅広い層に向けて、単なる知識の伝達ではなく、心に響くような体験型の啓発イベントを設計・実施する研究も進められています。例えば、風力発電を実感するための風車の工作コンテストや、微生物発電の実演、ジオラマを使った未来の街の可視化などです。これらを通じて参加者が自ら体験することで、エネルギー問題への理解を深められる工夫がなされています。
参考資料
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九州産業大学理工学部 スマートコミュニケーション工学科 教授橋口 卓平 先生
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