社会をコンピュータ上で再現し、課題を解決に導く
未来を予測して解決の糸口を見いだす
日本では少子高齢化が問題となっています。「日本はこれからどうなるのか」「未来の世代の暮らしは保証されているのか」といった不安を持つ人も多いことでしょう。それに対し、コンピュータ上でシミュレーションを行い、未来を予測することで解決の糸口を見いだそうという研究が行われています。コンピュータ上であれば、現実には実行できないことや、結果がどうなるか予測がつかないことでも、いろいろと条件を変えながら試すことができます。
マルチエージェントシミュレーションで検証予測
人間は、必ずしも常に賢い行動ができるわけではありません。間違ったり、自分のことばかり考えたり、予定とは違う行動をとったりと複雑なものです。そんな複雑な人間社会の未来を予測する方法の一つに「マルチエージェントシミュレーション」があります。いろいろな考え方や性格を持った「人間らしい」人が、お互いに影響を及ぼし合いながらコンピュータ上に存在する仮想社会を作り、さまざまな社会実験を行った結果を検証し、未来を予測するシステムです。
シミュレーションを繰り返し、社会の課題を解決
少子高齢化以外にも、社会にはさまざまな問題があります。例えば現代では、誰もがインターネットやSNS上で政治に対して自分の考えを述べ、意見交換をすることができます。しかし実際の議論の現場では、一個人の意見が通ることはあまりありません。国が国民にパブリックコメントを求めることはありますが、利害関係が絡む場合は組織票によって偏った結果が生じることもあります。マルチエージェントシミュレーションを使って検証を繰り返せば、そうした集中的な影響を補正した結果が得られるように検討することができます。そしてそれは、国民の意見が正しく確実に政治に反映されることにもつながります。このように、社会が抱える問題に対して、どうすれば解決につながるのかをシミュレーションして探っていくのが「情報社会学」なのです。
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大阪経済大学 情報社会学部 情報社会学科 教授 細井 真人 先生
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