深層筋を意識して動かすには? 理学療法と超音波エコー
筋肉や関節の動きがリアルにわかる
超音波(エコー)検査は近年、整形外科の分野でもよく使われるようになってきました。骨、関節、筋肉、靱帯(じんたい)など体を動かす組織・器官である「運動器」の障害や動きを、リアルタイムに体を動かしながら確認することができます。
理学療法士は運動機能改善のスペシャリストです。例えば痛みがあって肩が上がらないときには、触診などの評価をして肩関節のどの組織が動きを制限しているのか、どこの筋の活動が弱いのか評価をして、改善するための方法を考えます。エコーは理学療法士による評価の正確性を高めたり、治療を効果的に行うのに役立ちます。機器の小型化が進んでタブレット型も出ており、クリニックやスポーツ現場でも広く使われるようになっています。
スポーツ選手の腰痛を改善
理学療法士が運動器を見るときに大切なポイントが「動かしたい筋肉が動いているか」です。動かしたい筋肉がうまく動いていないと、障害につながることがあるからです。
例えば、腹筋は層構造になっていて、アウターマッスルと呼ばれ体を動かす大きな筋肉である「腹直筋」と、インナーマッスルと呼ばれ腰椎を安定させる小さな筋肉である「腹横筋」「腹斜筋」に大きく分けられます。日頃からトレーニングをしているスポーツ選手であってもアウターの腹筋が強く、インナーの腹筋が弱いために腰痛になることがあります。この場合、インナーの腹筋を鍛えることが腰痛の改善と再発予防に効果的です。
深層の筋肉を見ながらトレーニング
上体を起こす腹筋運動「シットアップ」は主に腹直筋に効くのに対して、腹をへこませたりする「ドローイン」は腹横筋に効果的と言われています。しかしインナーマッスルは深層にあるため、その動きを意識しづらく、目で見ることもできません。そこで理学療法士は「バイオフィードバック」という方法を用いることがあります。患者自身が深層筋が動いているかどうかをエコーで確認しながら行うためコツをつかみやすく、より効果的なトレーニング指導が可能です。
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東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 講師 平山 和哉 先生
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