超新星爆発が、地球に生命をもたらした!?
重い恒星は爆発する
太陽の10倍以上も重たく、太陽のように核融合反応で自ら燃える星(恒星)は、歳を取ると縮みます。核融合反応が進むと、最終的に中心部が鉄になり、その外がシリコン、酸素、一番外側が水素とミルフィーユ状に重なって発熱が止みます。やがて重力が不安定になり急速に縮み、なんらかのメカニズムで、中心部に中性子星やブラックホールを残して大爆発します。これが超新星爆発です。藤原定家の『明月記』にも記載がある、人類と長い付き合いがある天体現象です。
宇宙の観測
月は、肉眼や望遠鏡で観察できます。しかし地上から見える光は、せいぜい可視光線です。パラボラアンテナは電波をとらえて集め、星に関するデータを取ります。一方でニュートリノや重力波といった、宇宙からやってくる現象を観測する方法もあります。ニュートリノの観測装置で有名なのが、岐阜県飛騨市のスーパーカミオカンデです。巨大なタンクに大量の水を張り、そこへ宇宙からのニュートリノが飛び込んで光を発する現象を観測します。重力波とは、アインシュタインの一般相対性理論に基づく、質量を持った物体が引き起こす時空の歪みの波動です。観測した超新星のコンピューターシミュレーションを使った計算に、重力波やニュートリノの観測で得たデータや知見を加えた研究で、従来の理論の検証はもちろん、従来の理論を覆す新発見が期待されています。
われは星の子
超新星爆発現象は、世界的にも盛んに研究されています。なぜなら、超新星爆発が地球に生命をもたらしたと考えられているからです。爆発によって宇宙空間にまき散らされ、そこから誕生した物質に炭素があります。宇宙空間から地球にもたらされた炭素は、やがてアメーバ状の生命体を構成し、それが長い年月をかけて現在の生命の発展につながりました。炭素をはじめとする元素は、地球上の生物に欠かせない構成元素です。そう考えると、われわれはみな「星の子」であると言えます。超新星爆発を研究することは、生命の起源を理解するうえで大変重要なのです。
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先生情報 / 大学情報
福岡大学 理学部 物理科学科 教授 固武 慶 先生
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