講義No.12147 電気・電子工学 通信・情報工学 理工系その他

「しっとり」と「さらさら」はどう違う?

「しっとり」と「さらさら」はどう違う?

ものを触った時の感覚

例えば化粧水には、使い心地が「しっとり」と「さっぱり」に分かれている商品があります。どういう触り心地が「しっとり」で、どこからが「さっぱり」なのでしょうか? 人はものを触った時の触感を、言葉でしか表現できません。段階的な数値で示す方法もありますが、人の感覚的な表現であることに変わりはありません。そこで、触感のメカニズムを明らかにして、センサによって定量的な数値として計測し、「見える化」するための研究が進められています。

人工知能(AI)を使って触り心地を定量化する

触感を計測するためのセンサや機器の開発が現在活発に進められています。一方で、機械は決められた動作しかできないのに対し、人は触り心地によって無意識に速度や圧力を変えています。こうした動きの違いにも配慮が必要です。触る時の動きと触感がどう関係しているかを調べるために、さまざまな感触の布を触っている時の人の手の動きを加速度センサで測定します。同時に、触った人に布の手触り、例えば「ざらつき」や「なめらかさ」を数値で表現してもらい、これを加速度センサの測定結果と照らし合わせて、AI(人工知能)によって、動作の特徴からその人が感じている触感を推定できるようにします。こうして、離れたところにいる人がどんな触感を感じているかを、手に取るように分かるようにすることを目指しています。

触感の情報を定量的に伝える

現在、日常生活になくてはならないものになってきているインターネットは、視覚と聴覚の情報に偏っていて、触覚の情報を伝えるのは難しいのが現状です。もし、インターネット通販でタオルを選ぶ時に、「ふんわり感」を手で触っているように伝えることができれば、好みの触り心地のものを購入できます。また、乳児や高齢者は服やおむつや布団などの触感に関する快・不快を言葉でうまく伝えることができないことがあります。触感が測定できるセンサを開発して触り心地を可視化できれば、快・不快の状況を周りの人が察知できるようになるでしょう。

参考資料

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

大阪大学 工学部 環境・エネルギー工学科 エネルギー量子工学科目 准教授 秋山 庸子 先生

大阪大学 工学部 環境・エネルギー工学科 エネルギー量子工学科目 准教授 秋山 庸子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

工学、環境・エネルギー工学、感性工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校までは、細かく分かれた教科・科目を別々に勉強していきます。しかし、大学では「物理化学」や「生化学」という分野があるように、科目の垣根を越えた学問が広がっています。また、理系に進んでも論文を書くのには国語力が必要となり、英語の書籍を読んだり海外で発表するには英語力が必要になります。
今の勉強をなんのためにやっているんだろう?と思うこともあるかもしれませんが、すべての教科が絶対にどこかで役に立つはずです。苦手な教科も、今がんばれば将来どんな分野に進んでも活かせると思って、勉強を進めてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪大学に関心を持ったあなたは

自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。