「しっとり」と「さらさら」はどう違う?
ものを触った時の感覚
例えば化粧水には、使い心地が「しっとり」と「さっぱり」に分かれている商品があります。どういう触り心地が「しっとり」で、どこからが「さっぱり」なのでしょうか? 人はものを触った時の触感を、言葉でしか表現できません。段階的な数値で示す方法もありますが、人の感覚的な表現であることに変わりはありません。そこで、触感のメカニズムを明らかにして、センサによって定量的な数値として計測し、「見える化」するための研究が進められています。
人工知能(AI)を使って触り心地を定量化する
触感を計測するためのセンサや機器の開発が現在活発に進められています。一方で、機械は決められた動作しかできないのに対し、人は触り心地によって無意識に速度や圧力を変えています。こうした動きの違いにも配慮が必要です。触る時の動きと触感がどう関係しているかを調べるために、さまざまな感触の布を触っている時の人の手の動きを加速度センサで測定します。同時に、触った人に布の手触り、例えば「ざらつき」や「なめらかさ」を数値で表現してもらい、これを加速度センサの測定結果と照らし合わせて、AI(人工知能)によって、動作の特徴からその人が感じている触感を推定できるようにします。こうして、離れたところにいる人がどんな触感を感じているかを、手に取るように分かるようにすることを目指しています。
触感の情報を定量的に伝える
現在、日常生活になくてはならないものになってきているインターネットは、視覚と聴覚の情報に偏っていて、触覚の情報を伝えるのは難しいのが現状です。もし、インターネット通販でタオルを選ぶ時に、「ふんわり感」を手で触っているように伝えることができれば、好みの触り心地のものを購入できます。また、乳児や高齢者は服やおむつや布団などの触感に関する快・不快を言葉でうまく伝えることができないことがあります。触感が測定できるセンサを開発して触り心地を可視化できれば、快・不快の状況を周りの人が察知できるようになるでしょう。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
大阪大学 工学部 環境・エネルギー工学科 エネルギー量子工学科目 准教授 秋山 庸子 先生
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