ARで安全・迅速に災害救助を!
仮想現実の総称「XR」
コンピュータの中で作られた仮想世界を、現実であるかのように人間に体験させる技術をVR(仮想現実)といいます。VRには、仮想世界を現実世界に重ね合わせるAR(拡張現実)や、仮想世界と現実世界が相互に影響をおよぼしあうMR(複合現実)もあります。最近は、これらを総称して「XR(クロスリアリティ)」と呼ぶようになりました。
ARの応用例として「3次元ビデオ通信システム」があげられます。別々の場所にいる人の情報をセンサとカメラで集めて、サーバ上に「同期AR空間」を作ります。それをゴーグルで共有することで、同じ空間にいるように感じられるシステムです。
ARで災害救助を支援
災害発生時の救助にもARが役立てられます。ドローンを飛ばして、建物の中の状況を3次元データとして取得します。内部の構造を調べながら、壊れている場所や火災・水漏れなどの発生状況、要救助者の居場所などを認識してサーバに送るのです。救助者はヘッドマウントディスプレイを装着して、建物の3Dモデル上にドローンが得た危険な場所や要救助者のいる場所の情報を重ね合わせたものを見ながら救助を行います。さらに、救助者が危険な場所を避けつつ最短距離で行けるルートのナビゲートも可能になるでしょう。
触感を伝えるハプティクスデバイス
XR技術を使って、空中に浮いた商品が、手を使って動かせるシステムが開発されています。触感ディスプレイを装着して触りながら動かしている感覚を得ることもできます。触感ディスプレイはハプティクスデバイスと呼ばれており、足に装着して草原を歩いたり、泥のぬかるみにはまったりする感覚を得られるものも開発されています。視覚情報をほかの感覚情報とリンクさせることで、XRの応用の幅が広がります。
XRのベースとなるのは、AIを使って画像や動画に「何が映っているか」をコンピュータに識別させる「コンピュータビジョン」という技術です。この技術は、湖の外来生物の繫殖状況を調べるといった環境分野にも活用されています。
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