考えられないような未来を実現する「光」の正体とは!?
いろいろな周波数を持つレーザー光
インターネットの光回線にも使われているレーザー光は、自然光と異なり、拡散せずにまっすぐ進み、狭い領域に集めることができるなどの特徴を持っています。また、通常のレーザー光は1色ですが、中には複数の色(周波数・波長)を持つものがあり、「光周波数コム」と呼ばれています。光をプリズムに通すと波長順に光の帯が並ぶ像「スペクトル」ができますが、それがくしの歯のように等間隔に並ぶことから「コム(くし)」の名称が付きました。2005年にノーベル物理学賞の対象にもなった光周波数コムは、さまざまな科学技術分野での応用が期待されています。
光原子時計や距離測定にも活躍
光周波数コムはいろいろな計測において地球上における最高記録の実現に貢献しています。例えば、300億年に1秒しかずれない光原子時計の研究では光周波数コムが重要な役割を担っています。他にも超高精度な距離測定、超低雑音なマイクロ波の発生にも使われています。このような研究では光周波数コムの周波数を1秒で18桁の精度で制御できる性質を使っています。光周波数コムは人類が手にした最も精密なものさしと呼ばれることもあり、今後もいろいろな分野への応用が期待されています。
マイクロ光周波数コムが実現する未来
現在主流の光周波数コムは発生装置が大型で高価なため普及しにくいという問題があります。そこで研究開発されているのが小型のマイクロ光周波数コムです。マイクロ光周波数コムは半導体製造装置で作製可能で、将来的には小型で安価な光周波数コムになると期待されています。またマイクロ光周波数コムは、それまでの光周波数コムより、スペクトルのくしの歯の間隔が1000倍大きく開いています。その性質を活かして光通信や無線通信の高速・大容量化や、自動運転車やドローンのための高速で高精度な距離測定など、現在主流の光周波数コムとは少し異なる、より実用的な応用が期待されています。
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先生情報 / 大学情報
徳島大学 理工学部 理工学科 光システムコース 准教授 久世 直也 先生
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