通信やものづくりが飛躍的に進歩! テラヘルツ波を活用する技術

通信やものづくりが飛躍的に進歩! テラヘルツ波を活用する技術

周波数が高くなると通信速度が上がるわけ

今、スマートフォンなどの通信に5G(第5世代移動通信技術)を使えるようになってきました。それにより、これまでの4Gと比べて通信速度が20倍上がるのです。
4Gでは3.6GHz(ギガヘルツ)以下の周波数帯が使われていますが、5Gでは3.7GHz以上が使われます。「ヘルツ」というのは周波数の単位で、電波の波形の「山」が1秒間に何回来るかということです。情報はこの「山」に乗っているため、周波数を上げていけば、それだけ通信が速くなるのです。

光と電波の間にある「テラヘルツ波」

5Gの先には6G(第6世代)が検討されていて、そこには「THz(テラヘルツ)波」という周波数帯が使われる予定です。1GHzは109Hz、1THzは1012Hzですので、周波数が1,000倍になり、通信速度は飛躍的に高くなるとされています。
そして、周波数が高くなるということは光に近づいていくということでもあります。電磁波は、周波数の高いほうから、X線、可視光線、電波などと呼び方が変わります。テラヘルツ波は電波と光の間の周波数帯で、両方の特性を持つ電磁波といえます。

通信以外の応用も~テラヘルツ波の特性

電磁波はものに当たると回り込んで拡散する性質がありますが、周波数が高くなるにつれて拡散しにくくなります。つまり、テラヘルツ波は障害物があるとこれまでの電波より届きにくいため、今の通信機器では対応ができず、新しいデバイスを開発する必要があります。例えば、部屋の中に貼ることでテラヘルツ波を拡散できるようなフィルム素材などが研究されています。
また「光に近い」という特性の活用も検討されています。光ファイバーのように、テラヘルツ波を一方向に誘導する金属の「導波管」をつくり、モノにテラヘルツ波を当てて分析する「分光解析」や、空港でのボディスキャナーや、封筒の中身の検知器にも応用されています。テラヘルツ波は通信のみならず、ものづくりにも大きな技術改革を期待できるのです。

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福井大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 山本 晃司 先生

福井大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 山本 晃司 先生

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メッセージ

情報技術が進歩して、プログラミングをするAIなどにも注目が集まっていますが、それを可能にしているのは半導体デバイスやコンピュータなどの機器です。そして、デバイスは常に改良・改善が必要で、ものづくりに関わる優秀なエンジニアが求められています。ものづくりに興味があるなら、身の回りのものを自分で作ってみるとか、いろいろな装置、機械を触ってみるとか、そうしたことを楽しんでみてください。私も子どもの頃から木工や金属加工をしていましたが、そうした経験が、今も役に立っています。

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本学は教育学部、医学部(医学科、看護学科)、工学部、国際地域学部の4学部からなる国立大学です。「創造力、実践力」をキーワードに、本学で学んだ学生が生涯にわたって創造力や指導力を発揮できるよう、学びの力となる学問の基礎及び方法の習得をめざします。先端研究に支えられた教育内容と、不断の省察による教育技術によって、学生がそれぞれの個性に目覚め、社会に貢献できる実践的知識と技術を習得して卒業する事を目標とします。就職率は複数学部を有する国立大学で11年連続ナンバー1の実績があります。(H19-29年度)