きれいなだけじゃない! 役に立つ「色」を持った材料をつくる
結びつく原子や結びつき方で色が変わる・光を放つ
身の回りにはたくさんの「色」があります。天然の色もありますが、人工的に合成された、色の付いた有機化合物もたくさんあります。中には紫外線を当てると明るい蛍光を発する有機化合物もあり、栄養ドリンクに入っているビタミンB2がその例です。
金属の色も同じです。例えば、鉄は酸素と結びついて錆びると赤茶色になりますが、同じ鉄でも、二価鉄イオンの化合物と三価鉄イオンを混ぜると青い粉ができます。これは葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」に使われている絵の具の原料になっています。どのような原子とどのように結合させるかで、着色、発光の性質が変わるのです。
物質の色や発光現象がもたらすメリット
無色透明の物質も多いのですが、物質に「色がつく、光る」ということは、その性質にともなう機能があります。例えば、結びつく物質によって発光の様子が変化する性質を利用すると、特定の物質を検出するセンサーとして使うことができます。また、色がついて見えるということは、可視光線の中の特定の色の光を吸収し、それ以外の色の光を反射しているということです。吸収した光エネルギーによって物質が何らかの反応を起こす原理を利用したのが、植物が行う光合成や、太陽光発電です。
めざす色を求めて新しい材料の合成を研究
このように、色・光に関する新しい機能を持った物質の合成は、物質を検出するセンサーのほか、太陽電池、人工光合成、有機ELなどさまざまな分野で求められています。目的の色・発光現象、より高い機能性をめざして、無機物、有機物を問わず、新しい材料の研究が進んでいます。
例えば、酸の強さによって、赤から紫まで虹のように色が変化する化合物が合成されており、リトマス試験紙のように酸性度を測るセンサーとしての応用が検討されています。また、イオン交換樹脂と呼ばれるプラスチックに発光材料を何種類か混ぜ、水中の物質と反応していろいろな色で光るセンサーも研究されています。
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高知工科大学 理工学群 機能化学専攻 准教授 伊藤 亮孝 先生
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