ゲームAIから生まれる、人とAIの未来
ゲームがAI研究に貢献
将棋やチェスなど、古くからのゲームが最先端のAI研究の試験環境として使われてきました。ゲームはAIの性能を評価するための格好の題材であり、ここで培われた技術はほかの分野にも応用が可能です。例えば、囲碁のAIで用いられた「モンテカルロ木探索」という手法は、ゲーム以外の分野でも広く使われるようになりました。
複数ゲームAIの協調
近年は人間を上回る強いゲームAIが登場していますが、さらに強くするための研究も進められています。その1つが、複数のゲームAIを協調させる手法です。協調方法として、「多数決」「重み付け多数決」「助言」という手法が使われています。多数決では、複数のゲームAIの意見を集計して最も評価の高い手を選択します。重み付け多数決では、信頼できるゲームAIの意見に重みを付けて評価します。助言では、ほかのゲームAIの提案を取り入れて、自分の考えと合わせて深く読んでいきます。こういった協調により、単独のゲームAIよりも優れたパフォーマンスが得られることが確認されています。
鍵になる多様性
協調において重要なのは多様性です。多様なゲームAIを組み合わせることで、1機では思いつかない手を拾い上げることができて、より幅広い選択肢から最適な手を選べるようになります。また、人間が対戦する場合にも、多様なAIの対戦相手と戦えた方が楽しくなるでしょう。ゲームAIの多様性を数値化して、最適な組み合わせを探る研究も始まっています。
このようなゲームAI同士の協調の研究の影響は、広範にわたります。直接的には、よりおもしろく、斬新なゲームや、複数のAIが協力して人間をサポートするマルチエージェントシステムの開発につながります。間接的には、ゲームAI同士のより効果的な協調方法を見いだすことが、人間同士の協調の方法論に資することも期待されます。ゲームAIの研究から、AIと人間が協調して、より良い社会を作っていくための手がかりが生まれていくのです。
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先生情報 / 大学情報
高知工科大学 情報学群 講師 竹内 聖悟 先生
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ゲーム情報学、人工知能先生への質問
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