「シャツ」をウェアラブルデバイスに! カギは「給電と通信」

「シャツ」をウェアラブルデバイスに! カギは「給電と通信」

未来のウェアラブルデバイスは「シャツ」

「ウェアラブルデバイス」と言うと、身近なものでは心拍数などのデータを取るスマートウォッチがあります。最近では、VR空間で触れたものの感触を体験できるグローブ型デバイスもあります。
しかし、未来のウェアラブルデバイスは「衣服」が主流になるかもしれません。現在、「シャツ」にセンサや触覚を与えるアクチュエータを何十個とつけたウェアラブルデバイスが研究されており、完成すると医療、ヘルスケア、VRやアートなど、幅広い用途に応用できると期待が高まっています。

シャツを使ったデバイスにできること

例えば、服にセンサを数十個つけて全身の温度分布を調べると、直接計測できない深部体温が推定できて熱中症の予測に役立ちます。また、触覚を与えるアクチュエータを数十個つければ、VRの中で誰かに体を触られたときにそのデータが服に送られて、皮膚感覚でそれを感じとれるデバイスになります。
こうした使い方を可能にするのは、布の平面上で「給電」と「通信」を行う技術です。従来は、センサやアクチュエータ1個1個に電池と通信モジュールをつける必要があり、当然その分重くなるためにシャツとして実用的ではありませんでした。

布の上で給電と通信を行う

新しい技術では、導電性の布でできた服の1カ所に電源と受信機(または送信機)をつけるだけで、給電と通信ができます。センサをちりばめた服なら、各センサが出すデータの電波と、服の1カ所につけた電源からの電気を、すべて異なる周波数に設定して布の平面を伝わらせます。すると水面に波紋が広がるように、電気と電波が布全体に伝わるのです。その波の中から、センサは電気を拾い、受信機はデータを拾います。アクチュエータをちりばめた服なら、逆に、1カ所の送信機から送られるデータを、各アクチュエータが拾って動作します。
デバイスを開発するとき常に付きまとう給電と通信の問題を解決する画期的な方法の一つとして、注目されている技術です。

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高知工科大学 システム工学群  准教授 野田 聡人 先生

高知工科大学 システム工学群 准教授 野田 聡人 先生

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