社会の変化と法解釈
法律の解釈
法律は、文面を読んでそのまま適用して紛争を解決する、そのように単純なプロセスで運用されることは実は稀です。どの法律でも、解釈という作業が必要になります。第1に、法律に使われている言葉の意味が、字面を見ただけではよく分からないことがあります。そういった言葉は、法律の適用にあたって、何を意味しているのかを解明しなければなりません。また、法律はすべての事柄を網羅するように細かく書かれているわけではありません。そのため、目の前の紛争を解決するのにふさわしいルールが、条文にはっきり書かれていないこともあります。そのときは、解決に導く何らかのルールを、法解釈で導き出す必要があります。大学では、主にこういう法律の解釈について、個別分野の専門家が研究・教育を行っています。
時代に合わせた法律の解釈
法律の解釈にあたっては、条文を作った人の考え方、外国にある同様の条文の解釈などを手がかりにして意味を考えていきます。社会が複雑化された現代では、法律が作られた時には想定されていなかったような紛争も起こります。それでも、法律そのものが現代に通用しなくなることはありません。解釈の余地があるからです。解釈を経て運用することで、法律を社会の変化に柔軟に対応させることが期待できます。
法解釈の担い手
法律の解釈を担うのは、第1に、法律を実際に使う人たち、とくに、法律を紛争に適用してその解決にあたっている裁判官です。裁判官の法解釈で、とくに定着して権威をもったものを、「判例」と呼びます。また、裁判官は、法解釈にあたり、大学の研究者が提唱している学説や、学界での議論の内容を手がかりにすることも多いです。学問としての法律学が、裁判を通じて間接的に、現実社会の紛争解決に役立っているわけです。その意味で、実務と学問が協働して、日々、新たな法解釈を生み出しているといえるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
上智大学 法学部 法律学科 准教授 溝渕 将章 先生
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