ブラジルは外交上手? 複数の国で協力し平和を目指す

ブラジルは外交上手? 複数の国で協力し平和を目指す

外交で存在感のある国は?

ブラジルは新興国として国際社会の中で存在感を示しています。ブラジル人は歴史的に自分たちを「大陸サイズの国」と思ってきました。この気持ちは外交にも表れており、たとえば国連ではこれまで何度も安保理非常任理事国に選出され、日本とともに国連改革を目指してきました。ブラジルは、外交においてアメリカ、中国、ロシアなどの大国と共通する行動様式をとる可能性を秘めた国なのです。

多国間主義重視の外交

ブラジルは民主主義国家で、人権を尊重し平和な社会を目指しています。外交を通して解決策を見いだし世界に向けて発信してきました。このとき重視しているのが多国間主義の考えです。ひとつの国で課題に対処することよりも、複数の国が協力して取り組むことを重んじます。ブラジルはメルコスールという南米の地域統合体のほか、ポルトガル語圏諸国共同体、BRICSなど、多国間のグループに所属して経済協力や文化交流をしています。国の仕組みと同じく、外交でも民主主義的な姿勢を見せているのです。

日本のパートナーでもあるブラジル

ブラジルは日本とも外交的な関わりが深い国です。20世紀初頭に日本からの移民がブラジルに渡り、戦後は経済協力やビジネスの面でつながりを育んできました。現代では日系の人々が出稼ぎ労働者として日本を訪れ、定住するケースも少なくありません。日系社会との交流を重視し、両国は人のつながりを大切にした外交を行ってきました。また、民主主義の価値観を共有し法や秩序を守るための取り組みや第三国への経済協力にも、ともに取り組んでいます。ブラジルは地理的には遠く離れた国ですが、日本の外交にとって強力なパートナーでもあるのです。世界は先進国だけで成り立っているわけではなく、ブラジルのような多様性のある新興国との協力も欠かせません。ブラジルが国際社会の中でどのような発言をするのか、何を求めているのかを知ることは、今後日本が取り組むべき外交のアプローチを考えるヒントにもなるのです。

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上智大学 外国語学部 ポルトガル語学科 教授 子安 昭子 先生

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メッセージ

大学入学後は、人や学問との出会いを大事にしてほしいです。関心がなかった内容だとしても、コツコツ勉強すればきっとあなたの将来につながると思います。ブラジル研究も、そのような出会いのひとつになってくれると嬉しいです。また、高校生のうちにさまざまなことを調べて「何に向いているのだろう」と考えてもいいでしょう。それで見つかったことも大切な出会いのひとつです。たとえ勉強中に迷いを感じても、いつか「学んでいてよかった」と実感する日が来るかもしれないので、積極的に取り組みましょう。

先生への質問

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上智大学に関心を持ったあなたは

日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。