講義No.12291 建築学

鉄とコンクリートから木材へ 世界で進む大型の木造建築

鉄とコンクリートから木材へ 世界で進む大型の木造建築

木でビルをつくる

木造建築というと一般的には戸建住宅がイメージされますが、近年ビルなどの大型の建物を木で作ろうという動きが世界のトレンドです。背景にあるのは気候変動の要因である二酸化炭素や環境負荷の低減です。木は空気中の二酸化炭素を取り込んで酸素に変える性質をもっています。建物の素材を鉄やコンクリートから木へと変えることで、二酸化炭素削減が期待できます。また、木は火災や地震に弱いとされてきましたが、近年では木の表面に不燃処理を施したり、燃えない素材でくるんだりといった技術が広がっています。フィンランドやオーストリアといった環境意識の高い国々では、大型の木造建築がブームになっています。

火事と地震を克服して木の可能性を追求する

日本では、大火事や大地震の被害に度々見舞われたことから、木造の大型建築は法律で禁止されてきた歴史があります。現在の法律でもさまざまな制限が掛けられており、木造ビルを普及させるには技術的な課題と共に法的な問題をクリアしなければなりません。ヨーロッパでも20年前に同様の問題がありましたが、徐々に法律が合理化されてきました。日本も歴史的に社寺仏閣などで木造建築の技術が発達してきました。今は活用できる森林も多いため、法律がクリアになれば木造の大型建築が発展する可能性が高いです。

都市部に木の街並みをつくる

日本の木造ビルの歴史はまだ5~10年程度です。研究の積み重ねや実績も少ないため、その分建築コストが高くなる傾向にあります。現在は、例えば金具などを用いた木と木の接合技術や、模型などを用いた耐震・強度の実験、あるいはヨーロッパでつくられている木造ビルの事例を参考にしたデザイン研究などが行われています。こうした技術開発と同時に、日本では大手建設会社を中心に大型の木造ビルが実現しています。しかし世の中のビルの大半が5階建て以下であることを考えれば、中小規模のビルを積極的に木造化し、都市部に木の街並みを実現することで、都市環境を改善しつつ環境への負担を減らすことができます。

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先生情報 / 大学情報

日本福祉大学 健康科学部 福祉工学科 准教授 坂口 大史 先生

日本福祉大学 健康科学部 福祉工学科 准教授 坂口 大史 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

建築学、環境学、社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

たくさんの人に会ったり、多くのことを試すには、社会人では自由な時間がなく、高校生では環境的に制約が多いと思います。大学では、自由な時間も増えて行動範囲も広がりますので、さまざまな経験を積んで、自分にしかできないことを探してほしいと思います。私の場合は建築を専門とするようになりましたが、建築とは建物をつくるだけではなく、そこに住む人や集まる人、その場の歴史や文化も含め、人を理解し、社会をよくするための学問であるといえます。また、人を助け支える「ふくし」の分野にも建築の力は生かされているのです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本福祉大学に関心を持ったあなたは

1953年の創立以来、卒業生は約9万人。全国に広がる卒業生ネットワークは、全国各地で就職を強力にバックアップしています。卒業生は福祉・医療、ヘルスケア部門を展開する一般企業や流通・商社、金融・保険、運輸・サービス、情報系の企業など、さまざまな分野にも進出。全国で幅広い分野での活躍が期待されます。また、本学では公務員・教員採用試験合格のために対策講座に力を入れており、多数の卒業生が、地方自治体、官公庁、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などで活躍しています。