人と人のつながりで地域の問題を解決するためのコミュニティデザイン
衰退する地域で起こるさまざまな問題
防災、まちづくり、教材開発、空き家・空き地の再生……一見バラバラのようですが、実はこれらの研究の核になるのが「コミュニティデザイン」という分野です。少子高齢化が進展する地域で起こるさまざまな問題は人手不足により解決が難しい深刻な状況に陥っています。同様に行政も人手・財源不足となり頼れない状況であり、地域の人々は協力して災害による被害や、空き家・空き地問題などの困難な局面を乗り越えていかなければなりません。このような人手や資源が限られる中で問題を解決するために、人々のコミュニケーションを促し、人と人がつながる場のデザイン、仕組みづくりが注目されています。
生活軸にフォーカスしたコミュニティデザイン
地域の問題を解決するには地域を深く知る必要があり、自然軸、空間軸、生活軸という3つの軸に沿って地域を読み解きます。このうちの生活軸に焦点をあてた研究が「コミュニティデザイン」です。建築デザインの表現方法である模型制作は、模型の完成がゴールと思われるかもしれません。復興まちづくりにおけるコミュニティデザインでは手段に位置づけ、模型やその制作を通じて被災した人々の記憶を呼び覚まし、その場所や建物への思い入れ、価値観を引き出すコミュニケーションツールとして使用します。ほかにも、人々の困りごとに対する意識啓発を目的にトランプやパズルを用いたコミュニケーションツールを制作・活用し幅広い年齢層の人が集まり、楽しく対話をしながら体験や考えを共有する場をデザインすることが可能です。
人と人のつながりで自発的に問題を解決する時代へ
今後も人口減少にともない行政サービスは低下し、一方で地域の問題は増加します。それらの解決に主体的に取り組むのは地域に住む住民自身であり、その原動力となる「住民が自分たちで問題を解決したくなる仕組み」が必要です。一人ひとりの生活を記述し、理解を深め人口減少時代に生きる人々が幸せに豊かに暮らすためにコミュニティデザインは重要な役割を担うはずです。
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先生情報 / 大学情報
長岡造形大学 造形学部 建築・環境デザイン学科 准教授 福本 塁 先生
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