講義No.14070 看護学

「親になること」を科学すると?

「親になること」を科学すると?

子どもができると、夫婦仲が悪くなる?

幸せな結婚をした夫婦でも、妊娠・出産をきっかけに夫婦の関係が悪くなることがあります。原因として、夫に親になる自覚がなく、子どもが生まれても独身のように自由な暮らしを求める点が挙げられます。また妻が育児に集中するので、「妻にかまってもらえない」と夫が不満を持つことも多いようです。そのような状況で妻は一人で子育てをすることになり、夫への不満を募らせていきます。

新米パパと新米ママへの調査

父親になる夫の内面性、人間としての成熟度に問題があるのでしょうか。そこで、初めて父親になる男性約260名に質問調査を行い、回答が分析されました。すると父親の役割に順応してうまくこなしている人は、「子どもに対する感情が肯定的」「子どもや妻への関わりを実際に遂行している」などが関係していました。他方、妻に聞き取り調査をすると、夫へ「父親になる自覚を持って生活を見直してほしい」「育児を共有してほしい」などの期待の声がありました。2つの調査から、うまく父親の役割をこなしている夫は子や妻への関心が高いことがうかがえており、妻は夫に父親の役割を期待していることが見て取れます。

ヒトは本来育児が得意? 「父親脳」と「母親脳」

このような親への移行期に何が起きているのかを調べる研究が進んでいます。脳生理学の分野では、育児行動をする機能が発達した「母親脳」と、社会的な関係を育む機能が発達した「父親脳」が男女それぞれにあり、出産・育児をきっかけに、ともに脳神経のネットワークが活性化することがわかりました。また子育てに関わると愛情ホルモンが分泌されて母性が覚醒し、男性の脳も母親脳に近づくと言われています。
子どもを持たない選択をする若い世代が増えていますが、出産・育児をすることはほかにはない幸福を体験できる機会です。このような調査・研究を参考に、妊娠・出産・育児に関する知識や親の役割をきちんと理解することで、若い世代も安心して新しい家族を迎えられるようになるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

日本福祉大学 看護学部 看護学科 教授 岡田 由香 先生

日本福祉大学 看護学部 看護学科 教授 岡田 由香 先生

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生涯発達看護学、助産学、母性看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生のあなたに伝えたいのは、「時間は有限、可能性は無限」ということです。あなたにはこれから無限の可能性があります。夢を追求しながら、自分自身の可能性を最大限に引き出せるように、時間を大切に過ごしてください。いろいろな人に出会い、さまざまな関わりを持つと、感受性が豊かになりますし、可能性も広がります。また高校生活では数々の問題に直面すると思いますが、それは自分の成長に欠かせないものです。自分を信じて、小さな努力を積み重ねることを今は大切にしてください。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

日本福祉大学に関心を持ったあなたは

1953年の創立以来、卒業生は約9万人。全国に広がる卒業生ネットワークは、全国各地で就職を強力にバックアップしています。卒業生は福祉・医療、ヘルスケア部門を展開する一般企業や流通・商社、金融・保険、運輸・サービス、情報系の企業など、さまざまな分野にも進出。全国で幅広い分野での活躍が期待されます。また、本学では公務員・教員採用試験合格のために対策講座に力を入れており、多数の卒業生が、地方自治体、官公庁、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などで活躍しています。