人事管理が日本を守る!? 企業と従業員のWin-Winな関係
企業と雇用を守る人事管理
企業活動には「人、モノ、カネ、情報」が必要です。なかでも「人」は、企業にとって財産でありつつも、雇用や育成にお金がかかる難しい経営資源です。また、従業員は収入のほかに、やりがいや自己成長などを求めますが、それが経営側の求めるものと一致するとは限りません。このような経営側と従業員の双方の要望を調和させるのが「人事管理」です。人事管理がうまくいくと、良い人材が集まって収益が上がり、従業員の育成にも力を入れられます。逆にうまくいかないと収益が上がらず、雇用を守れなくなってしまいます。
根強く残る固定観念
女性の活用についても企業は模索し続けています。例えば、看護師や歯科衛生士などは女性が多い職業ですが、これには「女性は人をケアする仕事に向いている」といった固定観念があるからです。また、「女性だから大変な仕事はさせないようにしよう」といった一見優しく思える対応や、今も残る「女性は妊娠したら退職して、出産後に別の職場でパートをする」といった風潮は、女性が成長し、活躍する機会を奪っている可能性があります。
女性管理職を増やすには、女性が活躍しやすい環境を整えることも大切です。近年は、地域密着で仕事したい人に対して、転勤のない「エリア総合職」を設けている企業もあります。人事管理には、働く人たちの思いに応える姿勢も重要です。経営学だけでなく、心理学や社会学、経済学などの視点も取り入れた検証も重要です。
日本を守る人事制度
現在、企業活動も人材もグローバル化しています。日本でも年功序列が崩れたとはいえ、企業は経験を重視して若い人の年収は低い傾向がありますが、経営難になっても部署異動などで雇用を守ろうとする優しさもあります。ただ、結果主義で高収入が望める海外からは、日本の人事制度は人気がないのが実情です。さらに円安になると、海外で働くほうが高収入となり、日本から海外への人材流出が起こります。日本の企業と雇用を守るためにも、魅力的な人事制度が今こそ必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
南山大学 経営学部 経営学科 准教授 余合 淳 先生
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