ODAとNGOから考える、日本の開発途上国支援
世界トップレベルのODA
日本はこれまで開発途上国をさまざまな形で支援してきました。そのアプローチは「ODA(政府開発援助)」と、「NGO(非政府組織)」に大別されます。ODAは政府が開発途上国に行う資金や技術の協力です。日本のODAはアジアに集中しており、かつては中国や韓国、その後は東南アジア、南アジアの国々を支援してきました。日本のODAは道路や港の整備、橋の建設といった大型開発プロジェクトに資金を貸し出す「円借款」の援助が特徴です。日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でもODAの拠出額で2~4位につけており、重要な位置を占めています。
草の根的なNGOの活動
一方、日本のNGOも盛んに活躍しています。資金の大きいODAと違い、NGOは「草の根」的な活動が特徴です。日本から近いアジアや英語圏の地域で活動するNGOが多く、自然災害からの復旧支援や難民の支援など、組織ごとに幅広い活動を行っています。また、ある調査によると、日本のODAの対象が都市部に集中しているのに対して、NGOは地方や郊外でも活動しています。現在、日本の国際協力NGOは400団体以上あるといわれていますが、海外に比べて資金や組織の規模が小さく、支援できる内容や範囲が限られているのが課題です。
日本の国際協力の未来
近年では、東南アジアが経済発展を遂げていることで、日本の関わり方も変化しつつあります。プロジェクトに対してODAが資金援助を行うやり方から、民間企業と協力して進める方法へとシフトしています。同時に2011年の東日本大震災以来、国内での支援の必要性が叫ばれるようになり、ODAのあり方を見直す議論も起こっています。
国際政治学という学問分野では、このように時代とともに変わりゆくODAやNGOについて研究しています。さまざまな調査を通して活動内容や課題、変化を明らかにし、日本の国際協力に関連する政策提言へつなげることも、国際政治学の大切な役割なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
南山大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 ポッター デヴィッド 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
国際政治学、国際協力先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?