大統領と首相の両方が存在する、フランスの不思議
フランスの市民革命
フランスでは18世紀に入ってから、それまで民衆を支配していた教会と王室のあり方を見直そうという動きが起こりました。これは哲学者などが唱えた平等や自由についての知識が、市民に浸透したことが背景にあります。フランスの市民革命は1789年から10年間にわたって続きました。「フランス人権宣言」という憲法制定の基礎となるものが採択されたのも1789年です。
めまぐるしく変わったフランス憲法
フランスの憲法は、革命から現代までの200年余りの歴史の間に15回、変えられています。平均して10~15年ごとというめまぐるしさです。時には、ナポレオンI世やⅢ世によって君主制が復活し、国民の権利より義務が強調されるなど、微妙に憲法の構造が変わることもありましたし、ようやく憲法が新しく作られても、採択されない場合もありました。最も長く続いたのは1875年に作られた「第三共和制憲法」で、65年間続きましたが、第二次世界大戦の時にドイツに占領されたため、終わりを告げました。現在の「第五共和制憲法」は1958年に制定されました。今までの経験を生かした、よい憲法だと評価されています。
大統領と首相の役割分担
フランスの憲法は「自由」「平等」を大切にするとともに、国民が中心であることを意識しています。これは政治の面でも言えることです。フランスでは大統領が絶大な権限を持ちますが、これは18歳以上の国民による直接選挙で選ばれているためです。つまり国民の代表ということなのです。
日本人は不思議に思うかもしれませんが、フランスには首相もいます。大統領はフランスを守るため、将来のガイドラインを立てます。首相の役割は大統領の決めたプランを実現することです。例えば「10年間の間にもっと大学を増やそう」と大統領が決めれば、予算を獲得し、法案を通すのが首相の仕事です。首相そのものの役割は日本と似ているのです。
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