持続可能な障害者雇用に求められるもの
広がる障害者雇用
障害者の雇用は、一定数以上の従業員を擁する企業に義務付けられています。国が定める「法定雇用率」は近年高まっており、2023年時点では2.3%だったのが、2026年に2.7%まで引き上げる方針が発表されました。これに伴い、従業員数がこれまで43.5人以上が対象だったのが、37.5人以上になるのです。
人的資本としての障害者雇用
ビジネス界で注目を集める、従業員が持つ能力を企業の資本としてとらえる「人的資本」においても、障害者雇用は注目に値します。金融商品取引法で株式を発行する企業に開示が求められる「有価証券報告書」では、2023年3月期決算から人的資本情報の記載が義務付けられました。しかしまだ、開示される情報は「女性管理職比率」や「男性の育児休業取得率」といったジェンダーに関する項目が主となっています。企業において、障害者の採用や人材育成などについては現場の取り組みが進んでいるものの、情報開示はまだ事例が少ないため、学術的な研究もこれからだと言えます。
障害者のスキル向上も
障害者雇用に関心が高まる一方で、障害者自身が身につけるスキルも向上しています。例えば視覚障害者は、ITの進化に伴って障害を補う「視覚障害補償技術」が増えたことで、企業で仕事をするための情報にアクセスしやすくなりました。そのため、音声読み上げ機能などを駆使して、ソフトウェアを使う視覚障害者が、システムエンジニアやプログラマーといったIT専門職だけでなく、一般事務職としても働くケースが増えているのです。加えて雇用する企業側では、通勤で混雑する時間帯を避けた勤務時間の設定や、ほかの従業員への周知といった「合理的配慮」の実践が進むことで、視覚障害者の活躍や企業への定着も期待されます。
持続可能な障害者雇用のためには、企業と障害者双方の環境整備やスキル向上だけでなく、マッチングにつながる情報開示も重要となるのです。
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