地域住民に愛されるJリーグクラブと経営学との関係
J2で活躍する水戸ホーリーホック
水戸ホーリーホックは茨城県水戸市を中心とした地域をホームタウンに持つプロサッカークラブです。J2リーグにおける最長在籍記録を持つクラブとして、現在も息の長い活動を続けています。
発足した当初、経営基盤が不安定な状況下での活動を強いられていた水戸ホーリーホックは、観客動員数も1試合あたり2,000人前後でした。その後、観客誘致のためのさまざまな施策がある程度功を奏し、現在は1試合あたり4~5,000人程度にまで増やすことに成功しています。
「初ヘディング当てクイズ」の狙い
水戸ホーリーホックが毎年行っている観客誘致の施策の一つに、大学とのコラボデーがあります。このコラボデーでは、各学部の学生が考案したアイデアに基づく物販やイベントが実施されています。
例えばある年のコラボデーでは、「初ヘディング当てクイズ」という企画が実施されました。その試合で、最初にヘディングをする水戸ホーリーホックの選手は誰かを来場者に当ててもらおうという企画で、正解者には選手たちのサイン入りボールがプレゼントされるというものです。この企画には、水戸ホーリーホックにどんな選手が所属しているのかをあらためて知ってもらい、今後の応援のきっかけにしてもらおう、というマーケティングの意図が込められていました。
現場での実践と試行錯誤で得られるもの
Jリーグクラブの試合に行かない人は、なぜ興味を持たないのか。どうしたら興味を持ってくれて、スタジアムに足を運ぶ気になるのか。そこには、さまざまな要因が絡み合っています。それらを一つ一つひもとき、地道に改善していくことで初めて、本当の意味で地域住民に愛されるJリーグクラブを育てていくことができます。経営学とマーケティングの観点から考えても、理論を机の上だけで終わらせるのではなく、コラボデー企画のような現場での実践と試行錯誤を通じて確かめることでこそ、得られるものがたくさんあるのです。
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