講義No.08747 経営学・商学

「人」にフォーカスして組織力を高める「人材マネジメント」

「人」にフォーカスして組織力を高める「人材マネジメント」

企業の業績を高めるために

企業が業績を伸ばすためには、ヒト、カネ、モノ、情報などさまざまな資源が必要です。特に企業で働く「ヒト」の要素は重要です。一人ひとりの従業員がスキルを磨き、モチベーションを高め、しかも同じ方向をめざして力を合わせること、つまり各従業員の「能力」「意欲」「ベクトル」の3つの要素の掛け算が、企業のパフォーマンス向上には欠かせないのです。
この「能力×意欲×ベクトル」を高めるために何が必要なのか、何をしたらよいのかを探究するのが、「人材マネジメント」です。

個人だけでなく「チーム」に注目

これまで人材マネジメントの研究対象は、個人になりがちでした。個人にどのような仕組みやルール、福利厚生の制度を作れば、彼らのやる気があがるのかに関心が集まっていました。しかし近年、人材マネジメントの対象は、個人だけでなくチームのあり方や人間関係の構築にまで広がっています。
なぜなら、どんなに個人の能力やモチベーションを高めるための仕組みを作っても、職場の中で良好な人間関係が築けなければ、企業がめざす成果に結びつかないことがわかってきたからです。離職の理由の中で人間関係への不満が多いことも、こうした状況を物語っています。

「年功序列」から「成果主義」へ

この背景には日本企業の人事管理の仕組みの変化があります。かつて多くの日本企業では、勤続年数や年齢によって昇進・昇格・昇給する「年功序列」を中心に人事の仕組みを構築していました。この枠組みの中で先輩が後輩を教育・指導して成長させながら、上司と部下が同じ方向で一丸となって企業のミッション(使命)に取り組んできたのです。
しかし、バブルがはじけた1990年代以降、年功序列が崩れ、成果によって昇進や昇給が決まる「成果主義」が導入されました。その結果、社内での競争が激しくなり、企業はそれまであまり気にする必要がなかった人間関係の構築にこれまで以上に配慮しないといけなくなりました。人材マネジメントを通じた社内の人間関係の構築方法が求められているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 西村 孝史 先生

東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 西村 孝史 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

経営学、人材マネジメント、組織行動論

メッセージ

人が企業の中で成果をあげるために必要な要素は、「能力・意欲・ベクトル」の3つで、しかもこれらは掛け算で考える必要があります。掛け算なのは3つのうち1つでも欠ければ、企業にとって大きな成果は望めないからです。「ヒューマンリソースマネジメンント」はこれらに働きかける学問です。ヒューマンリソースマネジメントは、細かい違いはありますが、大学によっては人材マネジメント、人的資源管理論などと言われます。この学問は企業だけでなく、部活動や学級活動、アルバイトの場面にも役立ちますから、ぜひ学んでみてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京都立大学に関心を持ったあなたは

東京都立大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命とし、東京都が設置している公立の総合大学です。人文社会学部、法学部、経済経営学部、理学部、都市環境学部、システムデザイン学部、健康福祉学部の7学部23学科で広範な学問領域を網羅。学部、領域を越え自由に学ぶカリキュラムやインターンシップなどの特色あるプログラムや、各分野の高度な専門教育が、充実した環境の中で受けられます。