地域の健康を守る専門家! 「行政保健師」のキャリアを育てる
地域住民の健康のために奮闘する行政保健師
「行政保健師」とは、乳幼児健診をはじめ地域住民の健康増進のために、保健所や保健センターで働く専門家です。行政保健師の仕事は、健康維持や病気の予防のための業務のほか、介護の相談や子育て支援、感染症対策など多岐にわたります。さらに行政保健師は公務員であるため、事務の仕事もこなさなければなりません。
地域住民の健康を守る行政保健師がキャリアをうまく発達させていけるように、人材育成に関する研究が行われています。
「人材育成」という明確な目的
働く人の業務経験を増やしたり技術を向上させたりするためには、意図的に部門や業務の異動を行う「ジョブローテーション」が役に立ちます。しかし、行政保健師のジョブローテーションについてみると、特に人口が10万人以下の中小規模市町村では、人材育成を意図せずに人事異動が行われていることもありました。
実際に異動を経験した保健師へのインタビュー調査では、異動がキャリア発達に効果的であったことは全員が認めていました。一方、異動のあり方については「異動が突然来た」といったようなネガティブな感情を抱いたり、他部門に1人で配置されたことで孤独や不安を感じたりしたといった課題があることがわかりました。こうしたマイナス面をなくすためにも、人材育成という目的を明確にしたジョブローテーションであることが必要であるといえます。
適切なジョブローテーションのシステム作り
市町村の合併で、それまで数人単位で働いていた行政保健師は、課の増加に伴い分散配置されるようになりました。そうした個々の保健師の能力把握や健康管理を担う統括保健師へのアンケートでも、人材育成のためのジョブローテーションの必要性が回答されています。このような調査結果をもとに、有識者と意見交換をしながら、効果的なジョブローテーションの見本として提案できるようなシステム作りが進められています。
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先生情報 / 大学情報
富山県立大学 看護学部 看護学科 地域看護学 講師 朝倉 理映 先生
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地域看護学、公衆衛生看護学先生が目指すSDGs
先生への質問
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