誰もが楽しむためには? 観光で社会を考える
生きやすい社会をつくるには?
現代の社会はとても多様性に富んでいますが、多くの人が社会から排除されたり大きな負担を押しつけられたりしている現状があります。誰もが生きやすい社会を考える切り口のひとつが、観光まちづくりです。例えば、訪日外国人が基本的人権を軽視するまちに観光に行きたがるでしょうか。人権や多様性を守るといった社会学的な視点からも、持続可能な観光を推進する条件を考える必要があります。
外部者の視点が重要に
訪日外国人観光客の多くは東京・京都などの有名観光地をめぐっていたものの、2014年頃からはほかの地方にも積極的に足を運ぶようになりました。あるがままの文化や伝統などを体験したいと考える人が増えたからです。また、国内の都市住民が農村地域に観光で訪れ、昔ながらのライフスタイルを体験するケースも増加しました。
このような時代の変化のなかで、地域活性化の一環として観光振興に取り組む地域が増えています。ただし、実際には地域住民も気づいていないまちの特徴が数多くあります。他方で、観光客を含む他地域出身者や外国人は、そのまちの特徴を多角的にとらえることができます。このような「外部者の視点」は、地域が抱える問題解決を模索し、また観光まちづくりを推進するうえで有効です。
誰もが観光を楽しむために
持続可能な観光を実現するには、外国人の過ごしやすさだけを考えればいいわけではありません。例えば、将来的に障害のある人も観光を楽しめるようなまちづくりが重要です。観光は憲法第25条で保障されている「文化的な生活」に当てはまりますが、実際には障害のある人の観光にはまだ壁が残っています。障害があっても移動しやすく、宿泊施設を利用でき、文化的な体験ができるようなまちづくりをすれば、地元の高齢者や子連れの家族なども過ごしやすくなるでしょう。そのため、障害のある人の意見も積極的に都市計画や観光まちづくりに反映させていくことが重要なのです。
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東海大学 観光学部 観光学科 教授 本田 量久 先生
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