時速4kmの旅! 街道を歩くと見えてくるもの
速さを求めない旅
人間は速さを求めて移動手段を進化させてきました。かつては徒歩だった旅も、現代では新幹線や飛行機を使えばあっという間に移動できます。効率が重視される現代ですが、あえて旅の原点である徒歩に立ち返ってみると新たな価値を見いだす可能性があります。例えばゆっくり散歩をするときの一般的な速さである時速約4kmで旅行をすると、どんな景色が見えてくるでしょうか。
時速4kmで街道を旅する
時速4kmの旅で人気のある観光地が、江戸時代に使われていた街道です。歩いてみると江戸時代の歴史はもちろん、ご当地文化や特徴的な景色なども体感できます。
楽しみ方のひとつが、街道を歩きながら特定のテーマを深掘りする「定線観測」です。例えば街道沿いでよく目にする商品に注目し、その地域の名産品を推理する人もいます。複数の街道を歩いて比較することも可能です。日光街道には、栃木県宇都宮市でしか採れない大谷石(おおやいし)で作られた蔵があります。しかし宇都宮市から150km以上も離れた甲州街道にも大谷石の建造物があることに気づくと、なぜ共通点があるのかなど考えを巡らせることができます。このように定線観測をすると、観察力、分析力、想像力が養われるのです。
新たな人流を創出
徒歩で街道を旅する「街道ツーリズム」のように、自分の足で歩くスタイルの観光は、新たな人流を生み出すのではないかと注目されています。街道ツーリズムをする人の多くは外国人観光客や、65歳以上の日本人です。もし若者も興味を持てば、街道の観光市場がさらに盛り上がるかもしれません。
また、有名な街道もかつては人々の生活を支える物資を運ぶ何気ない道でした。やがて街道沿いに旅人たちが泊まる宿などができると地域が繁栄し、新たな人流が生まれたのです。「この道沿いにはどんな看板が多いのか調べよう」など、自分なりのテーマやストーリーを見いだして歩く人が増えていけば、現代の新たな街道や観光地が生まれることが期待できます。
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