講義No.12394 社会学

スポーツによるまちづくり

スポーツによるまちづくり

「まちづくり」とは

まちの魅力や活力を高める「まちづくり」は、1960年代の高度経済成長期に端を発します。当時は国や大企業主導の地域開発が行われ、産業施設や交通網などが各地で整備されました。その結果、生活水準や利便性は高まりましたが、公害などの弊害も出てきて、住民の健康や生活が守られない状況も生じました。そこで、「自分たちの暮らしや地域は自分たちで守る」というスタンスから生まれたのが、住民主体の「まちづくり」です。それ以降、環境や福祉、産業振興、観光、文化、スポーツなど、さまざまなテーマでの「まちづくり」が各地で展開されるようになりました。

スポーツによるまちづくり

日本では高度経済成長期以降、スポーツによる地域開発が行われてきました。農山村地域のスキー場開発や漁村地域のマリンスポーツ開発などがその例です。また都市部では、プロスポーツの興行や大規模イベントが行われ、都市の魅力向上・にぎわい増加に貢献してきました。2000年代以降は、スポーツ基本法の制定などを受けて、各地域の自治体やNPOなどが、スポーツを地域資源として位置づけ、それを活用した住民の健康増進や仲間・コミュニティづくり、集客・交流の促進などのまちづくりに取り組むようになっています。

学校スポーツもまちづくりの資源!?

学校スポーツを地域資源として位置づけ、まちづくりにつなげていこうという動きもあります。例えば、駅伝強豪校として知られる広島県の世羅高校では、町民が寄宿舎管理運営に協力したり、ランニングコースの整備・管理に自主的に取り組んだり、遠征費用などの寄付を行ったり、外国人留学生の生活をサポートしたりするなど、陸上競技部の活動を地域ぐるみで支援しています。また、町の観光協会などが駅伝大会を誘致したり、関連グッズを開発したりするなど「駅伝のまちづくり」を進めた結果、「駅伝のまち・世羅」という認識が町内外で広まり、町民のまちへの愛着と誇りをいっそう高めているのです。

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先生情報 / 大学情報

県立広島大学 地域創生学部 地域創生学科 地域文化コース 教授 和田 崇 先生

県立広島大学 地域創生学部 地域創生学科 地域文化コース 教授 和田 崇 先生

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地理学、まちづくり論

メッセージ

「まちづくり」は、まちの現状と課題を把握したうえで、魅力発信や課題解決に向けた取り組みを考え、実践するというステップを踏みます。そのため、「まちづくり」を学ぶには、地域・まちに関心を持ち、現場に出かけることが大切です。ただ、基礎的な知識がないまま現場に行っても得られるものは少なく、課題解決につながる可能性も低いでしょう。
まずは高校での教科学習や探究学習にきちんと取り組みましょう。英語でも数学でも地理・歴史でも、高校で吸収した知識が将来思いがけないところでつながることもあります。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

県立広島大学に関心を持ったあなたは

県立広島大学は、教育、研究、地域貢献、国際交流のいずれにおいても公立大学として一級の大学になっています。「主体的に考え、行動し、地域社会で活躍できる実践力のある人材の育成」を目標に、教養教育では、大学4年間の学士課程教育を通じて実施する「全学共通教育科目」を設定するとともに、専門教育においては、教養教育との連携を図りながら、「専門科目」を系統的に設定することにより、バランスのとれた教育内容を提供していきます。