スポーツによるまちづくり
「まちづくり」とは
まちの魅力や活力を高める「まちづくり」は、1960年代の高度経済成長期に端を発します。当時は国や大企業主導の地域開発が行われ、産業施設や交通網などが各地で整備されました。その結果、生活水準や利便性は高まりましたが、公害などの弊害も出てきて、住民の健康や生活が守られない状況も生じました。そこで、「自分たちの暮らしや地域は自分たちで守る」というスタンスから生まれたのが、住民主体の「まちづくり」です。それ以降、環境や福祉、産業振興、観光、文化、スポーツなど、さまざまなテーマでの「まちづくり」が各地で展開されるようになりました。
スポーツによるまちづくり
日本では高度経済成長期以降、スポーツによる地域開発が行われてきました。農山村地域のスキー場開発や漁村地域のマリンスポーツ開発などがその例です。また都市部では、プロスポーツの興行や大規模イベントが行われ、都市の魅力向上・にぎわい増加に貢献してきました。2000年代以降は、スポーツ基本法の制定などを受けて、各地域の自治体やNPOなどが、スポーツを地域資源として位置づけ、それを活用した住民の健康増進や仲間・コミュニティづくり、集客・交流の促進などのまちづくりに取り組むようになっています。
学校スポーツもまちづくりの資源!?
学校スポーツを地域資源として位置づけ、まちづくりにつなげていこうという動きもあります。例えば、駅伝強豪校として知られる広島県の世羅高校では、町民が寄宿舎管理運営に協力したり、ランニングコースの整備・管理に自主的に取り組んだり、遠征費用などの寄付を行ったり、外国人留学生の生活をサポートしたりするなど、陸上競技部の活動を地域ぐるみで支援しています。また、町の観光協会などが駅伝大会を誘致したり、関連グッズを開発したりするなど「駅伝のまちづくり」を進めた結果、「駅伝のまち・世羅」という認識が町内外で広まり、町民のまちへの愛着と誇りをいっそう高めているのです。
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先生情報 / 大学情報
県立広島大学 地域創生学部 地域創生学科 地域文化コース 教授 和田 崇 先生
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