これからの学校や教育はどうなっていくのか
厳しいシナリオ――社会状況を受けて
現在の日本は財政状況がよくありません。また、失業率の高さも改善されていませんし、今後ますます高まることが懸念される状況です。そのような時代のなかで、これからの学校はどのようになっていくのでしょうか。
1つのシナリオとして考えられるのは、学校の民間委託が進むことです。企業が学校運営に携わることで、電子黒板など設備の変革は進むと考えられますが、一方で教師の労働条件の低下が懸念され、それにともない教育の質は低下していくことになるでしょう。
希望の持てるシナリオ――3つの条件
また別のシナリオは、教育の質を維持し、専門職としての教師が、地域住民と協同しながら学校教育を運営していくというものです。学校は、子どもが成績を伸ばしていい会社に入るための場から、知る喜び・考える喜びを味わいながら、よりよい人生、社会とは何かを生徒・保護者・地域の人たちと協同で考え合う場へと変貌するというものです。そこでは、想像力・表現力・他者と協同する力に加えて、「正しい」と言われていることをとことん疑うような社会的批判力・洞察力が重要になります。この変化のために必要な条件が3つ考えられます。
新しい学びが生まれる学校
1つ目は、子どもたちがよりよい人生・よりよい社会とは何かを考えるカリキュラムをつくることです。例えば生徒に自由なテーマに取り組ませることで、自分のやりたいことが発見できたり興味が深まったりします。このような教育実践をすでに行っている学校もあり、そこでは結果的に大学受験の成績も含めて学力が全般的に伸びています。
2つ目は、地域の大人たちに学校に積極的に関わってもらうことです。現代社会は複雑化しているので、教師1人では対応しきれません。大人たちもまた、子どもと向き合うことで、自らの人生を見直し、よりよい社会と政治の実現を求めて、(子どもを含めて)協働して模索するきっかけをつくれます。
3つ目は、子ども自身の学ぶ権利、「学習権」を改めて学校教育の基本に据えることです。
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