過去の説が、新たな社会を構想するヒントに!?
社会とは何か
私たちは友人や仲間、共に働く人など、さまざまな人たちと集団を形成し、生活しています。その集団の大きなものをひとまずは「社会」と呼んでおきましょう。しかし不思議なことに、「社会」を形成する人間たちの姿は見えますが、その人間たちが作っているはずの「社会」それ自体は、目には見えない存在です。あるはずなのに、目には見えない「社会」。この「社会」を様々な工夫でとらえようとしているのが、「社会学」なのです。
デュルケムの視点
現代は、20世紀型の生き方が通用しなくなりつつあると言われます。しかし、今から百年ほど前にも、それまでの生き方が通用しなくなるような社会の変化が見られました。この変化に取り組んだのが、19世紀末に活躍した社会学者エミール・デュルケムです。デュルケムが考えたのは、どのような工夫をすれば、他の人との協力と自分の自由とを両立できるのか、という問題です。協力関係にある人であっても、その立場は同じではありません。例えば部活動の先輩や企業の上司の立場は「上」です。そういう上の人から「やっておいて」「頼む」「お願い」と言われれば、多くの「下」の立場の人たちは断りづらく、従わざるをえません。しかも上の立場の人は、自分の主張や意見を通そうとしがちで、それが行き過ぎれば暴力や脅しに発展することもあります。それに対してデュルケムは、「上」の立場の人の無理強いから「下」の立場の人の自由を守ることが、自由な社会を形成し、維持するポイントだと指摘しています。
これからの社会の構想に向けて
20世紀型の生き方とは、家族や企業といった集団に入ることで、集団のメンバーとしての地位を保障してもらうというものでした。しかし現在、そうした20世紀型の生き方から外れる人が増えています。よって、これからの社会をうまく機能させるためには、集団に属さないような人たちの能力を上手に生かすシステムを作り出す必要があります。新たな時代の社会構想に向け、デュルケムの提起した視点がヒントになるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
東京女子大学 現代教養学部 国際社会学科 社会学専攻 准教授 流王 貴義 先生
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