観光地の交通渋滞を、デジタルの力で緩和する作戦!
ヒューマンインターフェースとは
人間と、人間・物・環境などの他者との間をつなぐ「ヒューマンインターフェース」を、デジタルの力で改善する研究が進んでいます。例えば「観光地の交通渋滞を緩和するためのスマホアプリ」の開発は、「観光客(人間)」と「交通渋滞(環境)」との間のヒューマンインターフェースを、デジタルを用いて改善するためのものです。
ナビアプリが示す4つの提案
山梨県内や鎌倉といった、観光地の渋滞緩和をめざすスマホアプリが開発され、実証実験が行われました。「ナビアプリ」と呼ばれる、目的地を入れると交通ルートと所要時間が示されるアプリで、渋滞を分散させる工夫として4パターンの案内が示される仕掛けです。それぞれ「ただちに出発」「1時間後に出発」「2時間後に出発」「3時間後に出発」と、出発時間が異なります。出発までの時間が長ければ帰宅時間も遅くなりますが、時間をずらすことで渋滞自体が緩和されるため、「渋滞に巻き込まれている時間」は短くなります。アプリでは、出発までの1~3時間が過ごせるような、近隣の温泉や飲食店といった立ち寄りスポットも提案されます。アプリを使ったユーザーに「渋滞に巻き込まれる不便さの軽減」や「ハッピーな寄り道体験」がもたらされたたけでなく、寄り道先も集客による経済効果が生まれたのです。
ゲーム性を持たせてさらなる改善を
実証実験では「30分の壁」という発見もありました。ナビの予測で30分以上の渋滞緩和効果が期待できないと、ユーザーはただちに出発して渋滞に突入する傾向が顕著に見られたのです。そこでアプリには、スタンプラリー機能が追加されました。立ち寄りスポットでスタンプを集めるというゲーム性を持たせることで、30分の壁を少しでも崩し、寄り道を促すねらいです。他にも立ち寄りスポットで撮影した写真をSNSにアップしてもらうなど、観光客と交通渋滞との間の「ヒューマンインターフェース」をよりよいものにするために、さらなる改善が続いています。
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