文化財をデジタル化! 伝承と「思い」を保存して研究を支援する

デジタルで可視化
寺院や城、博物館といった有形文化財をデジタル化すると、細部まで可視化できます。デジタル化に必要な、建物の高さや距離といった計測データ、写真などの情報を活用し、3次元化してCGやVRという映像にします。普通なら不可能な上下左右、どの角度からも見ることができ、さらにVRではその空間に入り込むことができます。
歴史的な建造物なら、その歴史の検証や、劣化しそうな部分の修繕などに役立ちます。「祭り」といった無形文化財をデジタル化すると、山車の組み立て方やロープの結び方などを後世に残すことができます。さらに、「人の心の状態」を可視化することも可能です。心理療法の一つである箱庭療法の結果を継続して計測することで、その人の心理の変化を検証できます。
コミュニケーションが不可欠
ただし、単にデジタル化すればいいわけではありません。どんな目的で、どう活用するのかを把握してデジタル化することが大切です。使い手の思いや話を聞き、目的に合わせて作成するのです。
例えば、すでに行わなくなった祭事を再現するために、古い写真や映像を用いてデジタル化することもあります。神社の御神木である樹木の現状や、今後を検証することもあります。こうした使い手の意図によって、どんな映像が必要かは異なります。使い手の意見を聞きながら、映像をブラッシュアップして初めて、目的達成を支援するCGやVRとなるのです。
デジタルアーカイブで貢献
デジタル化の技術も進歩しています。これまでは、3次元情報における点の集まりである、点群の情報データ処理、ノイズ除去という作業が必要で、かなりの手間と時間がかかりました。現在はノイズ除去をしなくてもきれいな画像にできる技術が開発されています。これが手軽に使えるようになれば、デジタル化は加速するでしょう。
こうした技術を用いてデジタルアーカイブ化を図ることで、さまざまな情報を有効活用し、未来につなぐことができるようになります。
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先生情報 / 大学情報

東海大学情報通信学部 情報通信学科 准教授長谷川 恭子 先生
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