通信だけじゃない! これからの光ファイバー技術とは?

通信だけじゃない! これからの光ファイバー技術とは?

光ファイバーって?

光ファイバーと聞いて何をイメージしますか? インターネットなどの通信技術で使われている線、という答えが一般的かもしれません。光ファイバーの多くは、普通のガラスよりも純度の高い、透明度の高いガラスで作られています。そのため、光ファイバー通信では、光の信号が髪の毛ほどの線からほとんど漏れ出ることなく伝送され、遠く離れた場所にも情報を送ることができるのです。

災害時の活躍に期待

光ファイバーは、通信だけでなく、電気の供給にも利用されています。この技術で注目されているのが、災害時のアンテナ基地局への給電です。携帯電話は、最も近い基地局と無線通信することで通話やインターネットへの接続ができます。しかし、災害でどこかの基地局が停電してしまうと、その周辺のスマートフォンや携帯電話は通信できなくなります。そこで活躍するのが、光ファイバー給電です。
基地局では通信に光ファイバーを使用しているので、光ファイバーで電気を送る仕組みを整えれば、たとえその地域が停電になっても基地局の機能を維持できます。それを実現するには光の通路とともに電気の通路をも確保した特殊な光ファイバーが必要となりますが、すでに十分な電力を、通信に影響を与えず送る技術は開発されています。

自動運転でも注目

光ファイバーには、ガラス製のほかにプラスチック製のものもあります。プラスチック製は軽く柔軟なため、揺れたり動いたりといった負荷にも比較的強いのが特長です。そのため、自動車などの乗り物への利用が進められています。特に期待されているのが、車の自動運転技術への利用です。自動運転では、複雑な情報を大量かつ高速に処理するシステムが必要になります。しかし、それを車の中に作るのに、従来の電気回線ではケーブルだけで80キロほどの重量になり、車体が重くなってしまいます。軽量かつ耐久力のある光ファイバーはそうした問題を解決する素材として、自動車産業からも注目を集めているのです。

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先生情報 / 大学情報

電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 情報通信工学プログラム 教授 松浦 基晴 先生

電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 情報通信工学プログラム 教授 松浦 基晴 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

通信工学、電気電子工学

メッセージ

今や通信技術は、電気・ガス・水道などのライフラインと同じような当たり前の存在になったせいか、最近は通信に興味を持つ学生が少なくなってきています。しかし、その通信がどのような仕組みで成り立っているのかを知れば、とても面白い分野だと感じ、将来の生活をいかに便利にしていくことが可能な技術であるかということがわかってくると思います。
いつも使っているスマートフォンは、なぜどこにいても通信可能なのか? そんな素朴な疑問を持ち、知りたいという気持ちがあれば、通信を学ぶ面白さを十分に味わうことができるでしょう。

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電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。