人手不足の運送業の救世主 自動運転トラックを実用化せよ!

求められるトラックの自動運転
自動運転という言葉を日常で耳にしたことがあると思いますが、乗用車だけでなく、バスやトラックなど大型車両でも、自動運転の研究が進んでいます。特に、物流を支える運送業では運転手不足が問題視されており、経済発展の面からも、国を挙げてトラックの自動運転の実用化が進められています。
物流トラックはサービスカーに分類され、自動運転システムが作動する前提となる走行環境条件となる運行設計領域を設定し、オーナーカーに分類される乗用車とは異なる視点で実用化に向けたさまざまな研究が進んでいます。
自動運転トラックが隊列を組んで走行
運送業ではトラックが何台も同じルートで荷物を運びます。そこで、4台のトラックで隊列を組み、先頭車両にだけ運転手が乗って、時速80キロで一定の車間距離を維持しながら、先頭車の軌道を追随して走行する自動運転の研究が行われています。実車の性能テストでは、テストコースや高速道路での実証実験を通じてスムーズな走行が確認できました。
現在は、実用化に向けた改善が行われています。例えば、トラックメーカー各社の車間距離制御機能についてはメーカーごとに性能に特徴があるため、各社の実車の走行データから制御機能をモデリングし、シミュレーションでさまざまな状況を想定して評価を行っています。また、先頭車両の運転手のための運転支援システムの構築も進められています。
高速道路におけるトラックの自動運転の実用化
多くの長距離トラックは高速道路を利用して荷物を運んでおり、その特性から自動運転の実現が期待されています。一般道に比べて交差点や歩行者がなく、走行条件が安定しているため、自動運転の難易度が低いのが特徴です。さらに、高速道路には車両検知センサなどの路側機が整備されており、インフラとの協調による高度な運転支援も可能です。現在、新東名高速道路を中心に、大学・国・企業が連携し、日本各地で完全自動運転の実証実験が進められています。
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東京都市大学理工学部 機械工学科 准教授杉町 敏之 先生
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