完全自動運転の早期実現をめざして
自動運転を実現するために必要な技術
自動運転が実装された自動車が公道を走る時代が間近に迫っています。自動運転とは、GPS(人工衛星を利用した位置情報計測システム)で自分の位置を把握して、レーザーセンサーで障害物などを検知しながらデジタル地図のデータベースと照らし合わせて走るシステムです。自動車メーカーやIT企業などでは、人間の運転をアシストする「運転支援システム」の延長線上にAI(人工知能)を導入して「あらゆる場所」を走らせることができる自家用車のイメージで開発が進められています。
用途を限定し、サービスの開発にも配慮する
一方で、あえて「限定された地域」の中でしか走れない代わりに、仕組みを単純化し、信頼性、安全性を高め、より早期に完全自動運転を実用化しようとする研究もあります。そのために必要な技術はもちろん、サービスの開発までを視野に入れて研究が進んでいます。
自動運転のニーズがどこにあるのかといえば、例えば過疎地域での、あるいは高齢者などの移動手段です。そのため、自動運転が最初に実用化されるのは、例えば路線バスのような地域内の公共交通機関になるでしょう。その場合どのようにして乗客を見つけて乗せるのか、車内の安全の確保や運賃の徴収をどうするのかということが問題となります。これらを整えなければ、無人で動く自動運転のサービスにはつながりません。
地域を限定した路線バスからスタート
例えば道路信号は、時間帯や天候、車の向きにより見え方はさまざまです。汎用的な自動運転車は、どんな条件であろうと見落としがあってはならず、技術的なハードルは高いのです。一方、駅と病院を結ぶ固定ルートだとしたら信号機はそれほど多くないでしょうから、それを認識させるのは比較的簡単です。
今後は、物流ターミナル間の輸送トラックや高速路線バスなど、まず特定エリア、地域を走れるようになって、その後タクシーや自家用車にも広げていくという流れが最も現実的と言えるでしょう。
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群馬大学 次世代モビリティ社会実装センター 准教授 小木津 武樹 先生
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