パスワードを使わずにスマートフォンの個人認証を解除するには

パスワードを使わずにスマートフォンの個人認証を解除するには

面倒なパスワード設定

オンラインサービスの初期登録の多くは、個人認証のためにパスワードの設定が求められますが、つい同じパスワードを使いまわしがちです。その場合、もし個人情報が流出し悪用されると、使いまわしたパスワードで他のサービスにアクセスされる危険性があります。とはいえ、すべてに違うパスワードを設定するのは面倒であり、管理するのも一苦労です。

友だちといれば自動認証

パスワードを使わない個人認証の方法を考えてみましょう。スマートフォンを使う時は、家なら家族、学校なら友人、職場なら同僚というように、いつも近くに特定の人がいる場合が多いのではないでしょうか。そこで、周りに特定の人がいる状況であれば、パスワードを入れずに自動的に個人認証を解除する仕組みが考案されました。あらかじめ自分のスマートフォンにいつも一緒にいる数人のスマートフォンを登録しておき、登録した複数台の電波を自分のスマートフォンのBluetoothでキャッチしたら、自動的に個人認証が解除される仕組みです。教室内で学習アプリを使う場合や、オフィス内でビジネスソフトを使う場合などでの使用が考えられます。

心拍に着目

個人認証では、顔や指紋などの生体認証も使われるようになりました。しかし、顔認証ではマスクや眼鏡をした時の対応が難しく、指紋認証では手荒れや成長による指紋の変化で認証できないことがあります。さらに、顔や指紋は何らかの方法で盗まれるという事例も出ています。
そこで、新しい生体認証の手段として注目されているのが心拍です。心拍数はたえず揺らいでおり、揺らぎ方に個人差があることに着目した方法です。自分の心拍の特徴を登録しておき、スマートウォッチで自動的に計測して個人認証を行うことが想定されます。心拍は読み取ることもまねすることも難しいため、安心な認証方法だといえるでしょう。オンラインサービスが発達する現代の生活では、より安全で、より簡単な個人認証の方法が望まれています。

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京都工芸繊維大学 工芸科学部 設計工学域 情報工学課程 教授 稲葉 宏幸 先生

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メッセージ

よく学生から、情報の専門知識を高めるには何を勉強すればいいか質問されますが、これだけをやっておけば大丈夫というものはありません。それよりも、身の回りのことに対しての考えを深めてみることが大切です。実は、研究や開発の中で一番大切なのは、問題提起の部分です。どういう問題があるかというところをきちんと定義できれば、研究の8割はでき上っていると言えることもあります。日常生活の中で、どこにどんな問題があるのかと気づけるアンテナを張っておきましょう。

京都工芸繊維大学に関心を持ったあなたは

歴史都市京都にあって、本学は、伝統文化や伝統産業との深い結びつきを背景に、工芸学と繊維学にかかわる幅広い分野で常に先端科学の学理を探求し、「人に優しい実学」 を志向する教育研究によって、広く産業界や社会に貢献してきました。さらに、本学は、長い歴史の中で培った学問的蓄積の上に、感性を重視した人間性の涵養、自然環境との共生、芸術的創造性との協働などを特に意識した「新しい実学」を開拓し、伝統と先端が織りなす文化を創出する「感性豊かな国際的工科大学」を目指します。