産業DXから見えてくる課題は、技術面だけではない
進まないDX
今、企業の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」導入が推進されています。これは、ロボットやAI(人工知能)、ICT(情報通信技術)といった技術を駆使して企業の生産性や競争力を高め、業務の効率化を図るものです。
しかし、こうした技術も適切に導入することが必要です。例えば、スーパーのセルフレジ導入についても、高齢者が多い地域では有人レジに客が集まり、セルフレジでも対応するスタッフを増やすなど、負担増になってしまうこともあるのです。最適なDXの導入にはICT技術者が不可欠ですが、人材不足が続いており、人材育成が急がれます。
人材をとりまく課題
人材不足は、地方ほど顕著です。人材を育てても、その地域に就職先となる産業がないと都市部へ出ていきます。つまり、地方は税金を使って育成した人材が他県に流出する状態が続いているのです。海外資本も含めた大手企業の誘致を図る自治体もありますが、誘致した企業に人が集中して、地域産業はさらなる人手不足に陥るケースも増えています。
人手不足を補うために外国人労働者も増えていますが、地域社会との共生といった課題が山積しています。産業のDX化において社会学的にあらゆる角度から検討すると、多くの課題があり、その解決法を探る必要があることに気づくのです。
メタバースで解決を探る
人材不足とはいえ、その人が望む就職ができないと早期退職になりかねません。そこで、企業と個人の希望のマッチングのために、メタバース(仮想空間)を使って企業の仕事を体験できるシステムの開発も進んでいます。また、地方でもAIやICTなどに強い人材を育成すべく、メタバースを活用した情報技術教育も検証されています。
ちなみにメタバースは、地方で維持が難しくなりつつある行事や祭りを保存して後世に残すといった活用もできます。産業や人材、地域創生も含めてあらゆる課題に気づくことが重要であり、ICT技術を活用した有効な解決法を見いだすことが求められています。
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