プログラムは書けなくても、理解できる人を育てる教育を
コンピュータを使う前の大事なこと
プログラミング教育では、コンピュータを使う前の「考える段階」が重要です。プログラムがどのような考え方で作られているのかを理解し、筋道を立てて考える練習から始めます。思った通りにいかない場合は、原因を考えて出口を探ることに思索の価値があり、試行錯誤がすべて経験になるのです。小学校では身の回りの問題をプログラムで解決できることを体験し、中学校ではものづくりとしてシステムを学び、高校では技術活用の中で高度に発展させていきます。このようにプログラミングを一貫して学ぶ仕組みづくりが進んでいます。
技術視点の工学、人視点の教育
同じプログラミングでも、工学と教育では視点が異なります。教育では先端技術であるプログラミングをどうやって取り入れて、子どもたちにわかりやすく教えるかというところが一番注力する点です。技術そのものの理解というよりは、使う人が、技術のメリットデメリットを判断できるように工夫しなければなりません。例えば人工知能が画像認識をできなかったとき、技術で解決しようとするのが工学の視点で、なぜそういう間違いが起こるのかを理解してどう使うべきかを考えるのが教育の視点です。
地域活性化のために
地方都市の活性化のために、ICT(情報通信技術)やデジタルサイエンスを活用した課題解決が今後ますます大事になるでしょう。地元で生活する人たちがテクノロジーを活用して行政サービスや社会課題、地域課題を解決できれば地域は活性化します。必ずしもプログラムが書けなくても意味がわかる人材や、プログラムができる人と地域とを結びつけて課題解決ができる人材の育成が必要です。
さらに、地域創生をしていこうという人には課題に気づく力が必要です。課題とは、自分が考えている理想的な状態と現状とのギャップですから、まずは理想を思い描き、現状とのギャップを埋めるために何が必要かを考えなければなりません。こうした力を養うためにも、プログラミング教育は必要なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
上越教育大学 学校教育学部 学校教育研究科 教授 大森 康正 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
教育学、プログラミング教育学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?