効率化だけじゃない! エコにもつながるシステム開発

効率化だけじゃない! エコにもつながるシステム開発

人とAIの役割分担とは

かつては紙の設計図を用いてすべて人の手作業で行われていたシステム開発は、現在では人工知能(AI)がプログラミングなど作業の半分を担うようになりました。人が担うことでかかる費用をできるだけ削減していく時代になり、AIをうまく使った新たなシステム開発やそのための研究も必要とされています。しかし、例えば家を建てる時に「温かみのある家にしたい」という施主の要望を、AIは設計の中に落とし込むことができません。つまりシステム開発においても、人がコミュニケーションの中で要件整理しているような部分をAIが担うことは難しく、今の技術の中では将来的にも人の手がゼロになることはないとされています。

「職人技」はAIにバトンタッチできるか

システム開発においては、発注者の要望をくみ取る以外に「出来上がりを確認する」という工程も人の手が必要です。要望内容の達成度合い、AIの自動実行により作られたプログラムの良し悪しなど、いわば職人による「肌触りの確認」のようなところは、同じように経験を積んだ人が検証する必要があります。とはいえ、今後の研究によっては、AIが今補えていない正確性の判断や検証など、最新技術を使って自動化できる部分はまだあると考えられます。

「環境にやさしい」という視点

情報技術を使ったサービスを提供するIT企業の「消費電力」は、ほかの産業に比べると見えにくいものかもしれません。しかし、今世界の超巨大企業と言えばIT企業であり、システムは365日、膨大な電力を使って二酸化炭素の排出をしているため、IT業界としても環境問題に取り組む必要があります。そのような中でのシステム開発の研究は、単に人手を減らして効率化、費用削減するということだけではなく、コンピュータの処理時間を減らすなど、脱炭素の取り組みとしても大きな効果をもたらす可能性があります。今後は、環境負荷の軽減に焦点を当てた「グリーンソフトウエア開発」がますます広がっていくでしょう。

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先生情報 / 大学情報

人間環境大学 総合環境学部 環境情報学科 准教授 神馬 一博 先生

人間環境大学 総合環境学部 環境情報学科 准教授 神馬 一博 先生

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ソフトウェア工学、環境情報学

先生が目指すSDGs

メッセージ

プログラミングと聞くと、理系や数学を想像して「難しいのでは?」と思うかもしれません。実際にはAIを使うと専門的なスキルや経験がなくても、パソコン1つでアプリなどのものづくりができ、社会で実現したいことも低コストで始められます。今はコンピュータと関わりがなかった業界、例えば農業や漁業でもシステムを使う時代になりました。工夫次第ではさまざまな分野の人との関わりの中で、テクノロジーの力を発揮して課題を解決できます。やりがいのあるこの分野にあなたも飛び込んでみませんか?

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

人間環境大学に関心を持ったあなたは

人間環境大学は、「いのち」、「こころ」、「環境」の未来を創造するために、知識と技能、そして自ら考えて行動する力を養い、それにかかわる実践力を身につけた人材を輩出しています。人を知り、人に学び、人のためになる自分へと成長できる大学、それが人間環境大学です。2022年4月、新たに愛媛県松山市に「総合心理学部」、愛知県岡崎市に「心理学部」「環境科学部」が開設、5学部7学科の大学となり、ますます個性あふれる特色豊かな大学へと進化します。