あの施策は効果があったのか 政策を正しく評価するには?
政策を評価する
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が出された際、政府は企業や国民を支えるためにさまざまな補助金を給付しました。ほかにも、政府は社会情勢に合わせてさまざまな政策を実施していますが、それぞれの政策にどれほどの効果があったのかは毎回評価されているわけではなく、そもそも評価自体が簡単ではありません。例えば政府の金融財政政策を判断する重要な指標になるGDP(国内総生産)は、発表される際には予測値が含まれており、しばしば事後に訂正されます。そのため政策を決めた時点のデータとその後に改定されたデータの両方を見なければ、政策の正しい評価はできないのです。
市町村の政策評価
さらにそれが市町村レベルになると、政策決定を評価するデータは多いとはいえません。例えば全国的に人口減少が進む現在、各市町村が自分たちの自治体に人口を増やすためにさまざまな「移住・促進」施策を展開していますが、そうした施策に対する客観的評価はほとんど行われてきませんでした。そこである研究で、60以上の市町村を対象に、子育てや医療、産業振興など11分野からの定住・移住促進策の実施の有無を調査しました。そこから得られた回答をデータ化した上で、どのような施策が、どれぐらい定住・移住促進に結びついているのかを定量的に評価する仕組みをつくっています。
EBPMの有効性
これまで市町村では信頼できるデータがないことから、政策決定においては過去の経験則などが重視される傾向にありました。一連の研究によって得られたデータは、市町村のより良い政策づくりのために役立てられることが期待されています。客観的データを得る仕組みができることで、市町村レベルでもEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング=証拠に基づく政策立案)をより推し進められます。さらに今後ますます人口減少・財政難が予想される日本において、市町村が政府を頼らずに、自ら政策決定を行う上でも大いに役立てられるはずです。
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