テクノロジーの導入により、ますます進化する看護教育
看護教育とテクノロジー
現代社会では、好むと好まざるとに関わらず、テクノロジーとの共存が欠かせません。看護の領域にも、テクノロジーを用いた教育(EdTech:エドテック)が導入されています。例えば、模擬患者の電子カルテを使って看護計画を立て、VR(仮想現実)を使って医療現場を疑似体験するなど、より臨場感のある看護教育が実現します。
看護教育では、実践の場での「経験」が重視されてきましたが、実習で経験できることには限りがあります。VRを使えば、手術の直前直後、救急搬送時、災害現場など、学生では立ち入ることができない場面を疑似体験できます。実習では得られない「経験」を積むことができるのです。
患者さんの視点に「立つ」
看護師は、相手の気持ちを考える、空気を読むなど、高いコミュニケーション能力が求められます。しかも対象は小児、高齢者、妊産婦、外国人などさまざまです。従来の動画教材では、作成者によって学習者の視点が定められていました。一方、VRでは前後左右、360度を見渡せるため、小さな子どもの視点、腰の曲がった高齢者の視点など、さまざまな患者の視点を体験することが可能です。現場では、ベッドを移動する際に患者の私物を落として壊してしまうといったトラブルもよく起こります。こうした日常の場面を事前にVRで体験することは、トラブルの防止にもつながります。
看護学の未来
このようにテクノロジーの活用が進めば、これまで就職後に実践の場で学んでいたことが、学生のうちに身に付けられるようになります。就職時点での知識量や経験量が増え、看護全体の質向上が期待できます。
医学よりも観念的な領域が多い看護学では、テクノロジーの活用が難しいと思われてきました。しかし、導入が進むにつれて、実は相性が良いことが証明されてきています。看護×テクノロジーの可能性は無限大です。気難しい患者の対応などを含むコンテンツの充実化、観念領域での評価方法など、さらなる進化が期待されています。
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