多様な人々が集まる場を、情報技術を使ってデザインする

多様な人々が集まる場を、情報技術を使ってデザインする

「ワークプレイス」のデザイン

ワークプレイスとは人々が活動する場所のことです。働くためのオフィスだけでなく、学びを進める学校なども含まれます。ワークプレイスをデザインするには、単に形をつくるだけでなく、さまざまな要素を結びつける必要があります。盆踊りのお祭りに例えてみると、中心となるステージの設計や装飾、そこにかかる予算の設定や実際のお金の調達、音楽の選曲や音響システムの構築、人々に周知する広告などが含まれます。ワークプレイスのデザイナーには、それらすべてをまとめ上げるコーディネーターとしての能力が求められるのです。

情報技術で可能性を高める

ワークプレイスのデザインには情報技術を使ったアプローチは重要です。多様な価値が尊重される現在では、ワークプレイスが均一に割りつけた箱のような空間では、そこにいる人々のパフォーマンスを充分に引き出せません。最新技術によりセンシングした人の動きをコンピュータで解析して、設計を導き出す研究もなされています。例えば教室の座席の配置は、縦横の軸線をそろえて均等に並べるのではなく、授業に向き合う多様性に配慮した並びでもいいはずです。そこで、人の動きの解析をアルゴリズムにしてコンピュータに与え、画一的ではない座席の配置を自動生成させます。多様な人々が一緒になって過ごす場所としては、徹底的に合理性を追求したデザインよりも、無駄や柔軟性を持つ余地のあるようなデザインの方が長持ちし、多彩な可能性が期待できます。使い手側が自由に考えられるような場のデザインが、ワークプレイスでも求められるのです。

空間への応用

実際にワークプレイスデザインを行うには、さまざまな諸条件を処理してデザインにつなげるコンピュータ技術の習得が大きな鍵となるため、プログラミング教育が重要視されます。その一つが、コンピュータプログラムにより造形をしていくアルゴリズムデザインであり、複雑化する問題を解き、新しい創造性を発揮する道具となるものです。

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先生情報 / 大学情報

京都工芸繊維大学 工芸科学部 デザイン科学域 デザイン・建築学課程 准教授 松本 裕司 先生

京都工芸繊維大学 工芸科学部 デザイン科学域 デザイン・建築学課程 准教授 松本 裕司 先生

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工芸科学、デザイン科学

メッセージ

アートとデザインは共通する部分もありますが、大きく違います。アートは自己表現である一方で、デザインは他者のための工夫です。アートに説明は不要ですが、デザインは科学や工学などのアプローチから説明できる工夫が求められます。自分がどちらに魅力を感じているかを理解して、進む道を見極めてください。そして、デザインには総合的な知識や好奇心が非常に重要なため、どんな勉強でも参考になります。どんなものでも「面白がれる力」が求められるので、面白くないと感じるものでも意識して面白い点を探してみましょう。

先生への質問

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京都工芸繊維大学に関心を持ったあなたは

歴史都市京都にあって、本学は、伝統文化や伝統産業との深い結びつきを背景に、工芸学と繊維学にかかわる幅広い分野で常に先端科学の学理を探求し、「人に優しい実学」 を志向する教育研究によって、広く産業界や社会に貢献してきました。さらに、本学は、長い歴史の中で培った学問的蓄積の上に、感性を重視した人間性の涵養、自然環境との共生、芸術的創造性との協働などを特に意識した「新しい実学」を開拓し、伝統と先端が織りなす文化を創出する「感性豊かな国際的工科大学」を目指します。