幸福度世界1位の国フィンランドから学ぶ日本の建築の未来
なぜフィンランドは幸福度世界1位の国?
あなたはフィンランドと聞くと、オーロラやムーミン、森と湖の国というイメージを思い浮かべるでしょうか。最近流行りのサウナでも有名です。そのほかに、フィンランドは世界における幸福度世界1位の国としても知られています。
フィンランド国民が幸福を感じる背景の一つに、社会システムにおける福祉の充実が挙げられます。例えば多くの高齢者は、心身ともに健康なうちから福祉施設に入ります。そこは広々とした空間で、入所者が自由に歩き回れるよう設計され、プライベートも守られます。年齢を重ねても心身ともに自立した、健康的な生活を送れるよう配慮されていて、日本とはだいぶイメージが違います。
幸福度世界1位を支える豊かな公共の建物
ほかにも日本とイメージが違うのが図書館です。2019年に世界一の公共図書館に選ばれたヘルシンキ中央図書館は、デザイン性に富み、学びやものづくりの場として、訪れる人の創造性を刺激します。壁を取り去った空間で読書や会話が楽しめ、違うフロアには音楽スタジオ、キッチンスタジオもあります。図書館という名の「文化センター」のような役割で、本だけでなくコミュニケーションや体験などから、心を豊かにする機能を持たせているのです。こうした施設の存在も、人々の幸福度向上に役立っています。
日本がフィンランドから学ぶこと
しかし実は、日本とフィンランドは似ているところも多いのです。まず自然と共生する文化があります。森と湖の国だけあって、春や秋は森でベリーや木の実を採り、湖で泳いだりします。暮らしと自然がとても近いのです。また長くて寒さの厳しい冬は室内で長時間を過ごすため、インテリアや自宅の建物、庭をいかにシンプルに、快適にするかを工夫してきました。木を使った建築はフィンランドの伝統建築でもあり、日本の木造建築とも共通します。さまざまな違いはありつつも、根となる文化や価値観の似ているフィンランドは、日本がめざす建築の未来像としてこれからも注目すべき国なのです。
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日本福祉大学 健康科学部 福祉工学科 准教授 坂口 大史 先生
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