これからの街づくりに求められる「都市デザイン」の視点とは

これからの街づくりに求められる「都市デザイン」の視点とは

活力を生み出し、住みたくなる街づくり

日本の人口が減少に転じる中で、都市にも競争力やブランド力が求められています。そこに住む人々が誇りを持てる街、また多くの人々が訪れて交流する街づくりが求められているのです。そこで重要になってくるのが、「都市デザイン」という視点です。都市の活力を生み出す建物や施設をつくると同時に、住民や訪れる人が心地よいと感じる空間やスペースをどのようにクリエイトしていくのか、それは、50年~100年という長いスパンを考えた、未来へのビジョンを描くことでもあるのです。

住民の権利と主張をいかに調整するか

都市はたくさんの人が暮らし、多様な意見や価値観が存在する場所です。したがって、再開発事業などの都市デザインにおいて最も大事なことは、そうした権利と主張をいかに調整し、統一的な都市デザインの視点を生かしていくかということです。例えば、道路は公共の施設としてつくりますが、道路に隣接する土地は私有地というケースでも、民間の建物にも、全体の考え方やデザインを引き継ぐしつらえ、設計をお願いすることが重要になってきます。「公と民」、「公と公」など、隣り合うものをどうつなげていくかが、都市デザイン成功の鍵を握っているとも言えるでしょう。

居場所をつくり、街を楽しむという発想

もうひとつの重要な視点は、街に住む人、訪れる人の居場所をつくるということです。建物や設備がどんなにすばらしくても、居場所のない空間はよそよそしくて楽しくありません。そこで求められるのが、公園や広場などのパブリックな空間です。パティオやアトリウムなどの中庭、川のほとりの水辺広場といった、街を楽しむ仕掛けです。また高齢化が進む日本の都市では、バリアフリーやユニバーサルデザインなど、福祉・弱者への配慮も忘れてはならない視点です。まずは、現場へ出かけて、住民の意見を時間をかけてじっくりと聞くことから都市デザインはスタートするのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

熊本大学 工学部 土木建築学科 准教授 星野 裕司 先生

熊本大学 工学部 土木建築学科 准教授 星野 裕司 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会環境工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

社会環境工学という分野は、自然と人々の暮らしを結びつけて、人々の暮らしの基礎、生活を支える公共施設を考える学問分野です。その中でも景観デザイン・都市デザインというのは、単純に道路を通すとか川の水を流す、また街を機能的に再開発するというだけではなく、どうすれば人々が気持ちよく過ごせるのか、あるいはのんびりと過ごしてもらえるのかをデザインという視点から研究しているジャンルになります。あなたが、自然の中や街の中でいろいろな経験を積んで、ぜひ、この分野をめざしてくれることを願っています。

先生への質問

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熊本大学に関心を持ったあなたは

熊本大学は、「総合大学として、知の創造、継承、発展に努め、知的、道徳的、及び応用的能力を備えた人材を育成することにより、地域と国際社会に貢献する」という理念に基づき、地域のリーダーとしての役目を果たしています。かつ、世界に向け様々な情報を発信しながら、世界の学術研究拠点、グローバルなアカデミックハブとして、その存在感を高める努力をし、教育においては、累計30件にも及ぶ「特色ある教育プログラム」が優れた取り組みとして文部科学省から認定され、その教育力の高さと質の高い教育内容は定評のあるところです。