地震で壊れないまちづくりを進めるためには?
地震で壊れにくいまちをつくる!
地震がおきても、ものが壊れないようにするには、どうすればいいでしょうか? あなたの身の回りには、建物やブロック塀、道路の橋やトンネルなど、いろいろな構造物があります。中には、かなり昔につくられたものもあるでしょう。丈夫で新しいものをつくることも大切ですが、危ない建物や場所を見つけて多くの人たちに知らせることや、工夫して今より丈夫にすることも重要です。身の回りにある構造物の安全性を調べ、それぞれの特徴や状態に合わせた対策を取れば、地震で壊れない、壊れにくいまちになります。
経済学、心理学からも考える災害対策
地震で壊れにくいものをつくるときに、どのぐらいのお金がかかると思いますか? 最新の技術を駆使すれば、安全性の高いものはつくれますが、その分多額の費用がかかります。安全にどれだけのお金をかけるかは、工学的な考え方だけでは結論は出せません。例えば、津波を防ぐ防潮堤や地震に強い建物を建設するときには、「お金をかけてつくったものが無駄にならないか」「もっと違う形でのお金の使い方、対策はないのか」「費用を税金で負担することが正しいのか」といった心理学的な見方や経済学的な見方も必要です。多くの人たちが地震のリスクを理解し、「安全のためにお金を出すことも必要だ」と意識するようになれば、災害に強いまちづくりが進めやすくなります。
防災意識がビジネスチャンスに?
災害への備えが、新たなビジネスにつながることもあります。例えば、灯油の巡回販売やエアコンのクリーニングをしている会社は、顧客の家々を訪問します。このとき、転倒しそうな大型家具などの危ない場所などを見つけて、家具を固定するサービスを提供すればどうでしょうか? 現在の仕組みを簡単に拡張するだけで、防災へのきっかけづくりになると同時に、顧客も喜ぶ新しいビジネスになります。会社のイメージアップにもつながるでしょう。
文理の枠にとらわれずに、いろいろな視点で防災をとらえると、新しい世界が見えてきます。
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先生情報 / 大学情報
関西大学 社会安全学部 安全マネジメント学科 教授 一井 康二 先生
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