講義No.12815 水産学

タコ焼きクライシス タコの養殖への挑戦

タコ焼きクライシス タコの養殖への挑戦

養殖への挑戦

タコ焼きをはじめ、すしや煮付けなど、タコは日本の食卓になじみ深い食材です。しかし、各地で記録的な不漁が続き、漁獲量は年々減少しています。このままでは、タコ焼きがタコ抜きになりかねません。なんとかして養殖でタコを増やす必要があります。しかし、タコの養殖は非常に難しく、現在も試行錯誤が続いています。

タコのシェルター

タコ養殖の課題の1つが、大人になってからのケンカです。大人のタコは通常、水槽の底に一定間隔で沈んでいます。しかし、ほかのタコが少しでも近づくと、すぐにケンカになってしまうのです。それぞれをタコつぼに入れても、距離が近いと、隣のタコつぼに腕を伸ばしてちょっかいを出しはじめます。最終的に、弱いタコはかじられたり腕を取られたりして水槽から逃げ出し、外で干からびてしまうのです。そのため、狭い水槽で多くのタコを養殖するには、ケンカが起きないシェルターが必要になります。
研究では当初、多層の本棚状に設計していました。実際に水槽に入れてみると、一番下の段には入るものの、上の段にはタコが入りません。そのうちにタコがシェルターを動かして横倒しになり、段の仕切りが縦方向になったところ、仕切りの間にタコが何匹も入ってくつろぎ出したのです。その状態だとタコが隣り合ってもなぜかケンカが起きないことから、横倒しの形状を生かして、最適な間隔や高さを実験で割り出し、養殖用のシェルターが完成しました。

さらなる課題

ほかに、タコの幼生の育成も課題です。タコの幼生が水の中を漂える環境を水槽で再現するほか、養殖のタイミングに合わせて餌となるカニの卵をかえすのは難しいために、代わりになる人工餌の開発も進められています。さらに、幼生が育った段階で共食いが始まり、大人になる前に数千匹が数十匹しか残らないという状況になります。養殖方法の確立には、まだ多くの課題が残されていますが、これらを解決した先には、タコの食材の安定供給に加え、海への放流により自然の資源回復が期待されます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東海大学 海洋学部 水産学科 教授 秋山 信彦 先生

東海大学 海洋学部 水産学科 教授 秋山 信彦 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

海洋学、水産学、生物生産学、生物学

先生が目指すSDGs

メッセージ

海洋生物を扱う学科には、理学系の生物学科と農学系の水産学科があります。生物学科は主に生き物の遺伝子や生態を調べる学問ですが、水産学科は最終的に産業に結び付いているところが特長であることから、飼育法や、水槽のろ過システムなど周辺環境も勉強します。水産学科には、水族館や栽培漁業センターなどに就職したいという夢を持った学生も多くいるほど、生き物を育てることが好きな人たちが集まっています。将来にわたって仕事として生き物に携わっていきたいと考えている人は、ぜひ水産学科で一緒に学びましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東海大学に関心を持ったあなたは

海底から、宇宙まで。東海大学の学びは広がり、つながり、そして大きなうねりとなります。さまざまな場所で波を起こし、新しい波同士がぶつかり新たなひらめきが見つかることも。
東海大学は、全国のキャンパス(品川、湘南、伊勢原、静岡、熊本、阿蘇、札幌)に23学部62学科・専攻を擁する総合大学です。この大きな“受け皿”こそが、東海大学の魅力の一つです。社会に役立つ学びが集約された東海大学なら、あなたの興味や情熱に応える学びがきっと見つかります。