身近な海で魚が捕れなくなってきた! その原因とは?
海の食物連鎖の出発点とは?
人間は昔から、海に食料を頼ってきました。今でも海で獲れる生き物は、大切なタンパク源です。それでは、私たちが食べている魚は、何を食べているのでしょうか。例えばマグロは、アジやサバなど、自分よりも小さな魚を食べます。アジやサバなどは、ゴカイ(釣り餌にも用いられる細長い生物)やエビなどのさらに小さな生き物を食べます。このように食物連鎖をたどっていくと、最後に行きつくのが植物プランクトンです。私たちが食べている魚の出発点は、顕微鏡サイズの植物プランクトンなのです。
きれいになった海
日本が高度経済成長期だった時代、海には工場や家庭からの排水が流れ込み、海洋汚染が進みました。赤潮(植物プランクトンの大増殖)が頻繁に発生して養殖魚がたくさん死んだのもこの時代です。その後、下水道や排水処理施設の整備などの対策がとられた結果、今、海はどんどんきれいになっています。ところが、新たに大きな問題が出てきました。
魚が獲れなくなってきた原因を探る
今、海で魚が獲れなくなってきています。はっきりとした原因はわかっていませんが、さまざまな説があります。1つ目は、漁業者が魚を獲りすぎているということです。人間が管理生産している生き物ではありませんから、獲りすぎれば必ず減ってしまいます。2つ目は、海の貧栄養化です。海はきれいになりましたが、逆に植物プランクトンが減ることで魚たちのエサも減ってしまった、という考え方です。また、地球温暖化も、原因の1つと考えられます。海水温は年々少しずつ上がっています。海水温が1度上がると、海洋生物の生息地が500キロ北上するといわれています。
しかし、どの説も、魚が獲れなくなっている理由としては決定打に欠けます。根本的な原因を探るためには、長い時間をかけて実験とフィールド調査を繰り返し、基礎データを積み重ねていく必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
香川大学 農学部 応用生物科学科 教授 一見 和彦 先生
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