ヤーコン茶の秘められた可能性:健康と持続可能な未来への道

ヤーコン茶の秘められた可能性:健康と持続可能な未来への道

廃棄されている茎葉を活用する

「ヤーコン」は南米原産のキク科の野菜で、日本には1980年代に導入され、熊本県などで栽培されています。出荷されるのはイモ部分で、同等の収穫量がある茎葉の部分は、ほとんどが収穫時に廃棄されています。ヤーコンの茎葉もまた食用可能であり、一部がヤーコン茶として販売されています。ただし、ヤーコン茶の機能性はまだ十分に検証されておらず、機能性表示もされていません。そのため、ヤーコン茶の機能性を向上させ、付加価値の高い食品とすることで、茎葉の有効活用を促進するための研究が進められています。

ヤーコン茶の機能性に影響する要素

市販されているヤーコン茶の抗酸化作用を調査した結果、活性酸素を効果的に減少させることがわかりました。これは、ヤーコンに含まれるポリフェノールなどの抗酸化物質によるものであり、食材としての機能性や他の効能が期待されます。また、ヤーコンの葉の機能性には品種とお茶への加熱方法が関与していることが明らかになりました。ヤーコンは冷涼な地域での栽培に適していますが、国内各地で安定した栽培と収穫をめざして品種改良が行われてきました。特に2014年に登録された「アンデスの乙女」は、葉に抗酸化活性などで高い機能性が期待できると報告されています。

人の健康に資する食品機能科学

食品機能科学は、人の健康に貢献する、食品の機能性を研究する学問分野です。これまで医学や薬学などが健康に関する学問の中心でしたが、最近では「農学」における「食品を科学する分野」の一部である「食品機能科学」も同様の領域に含まれると考えられています。
野菜の品種改良は、成育や収穫量向上だけでなく、有効成分の増強や機能性を活かした品種や系統の選択も重視されるようになっています。食品機能科学では機能性食品や食材の研究に取り組み、その成果を医・薬・農学の分野に応用できる可能性が期待されています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東海大学 農学部 食生命科学科 教授 安田 伸 先生

東海大学 農学部 食生命科学科 教授 安田 伸 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

食品機能科学、食生命科学、農学

先生が目指すSDGs

メッセージ

本学農学部は2023年4月より阿蘇くまもと空港からすぐそばの臨空キャンパスに移転し、新たな環境でスタートしました。食生命科学科では「食に関する知識と技術」を身に付けて、「食と健康のプロフェッショナル」をめざせます。食品機能科学研究室では、熊本県産の食材を人間の病気の予防や軽減に役立てるために、機能性の基礎研究や薬物代謝の基礎研究を行っています。大学ではたくさんの出会いがあります。多くの人から学び、仲間と助け合い、責任感と感謝の気持ちを持って卒業をめざす充実した学生生活を、ぜひ共に過ごしましょう。

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