お金がたくさんあると幸せ? 行動経済学から考える人生を生きる方法
「経済学=お金の研究」だけ?
経済学といえば、お金にまつわる研究をする学問と思われがちですが、実はそればかりではありません。「幸福」についても研究対象の1つです。人が幸せになるためには何が必要だと思いますか? もちろん、生きていく上で「お金」は必要です。しかし、さまざまな調査によると、収入が増えるにつれて人の幸福水準はあがるものの、ある一定金額を超えると、収入と幸福水準の関係が弱まることがわかっています。
人が幸せになるために必要なものって?
ではほかに、どんな要素が人の幸せに関わっているのでしょうか。現在では、特に「仕事」・「健康」・「人間関係」という3つの要素が重要であるという仮説をもとにした研究が進められています。仕事や勉強のコツがわかっていると効率がよくなりますし、成果を得ることができれば人生の選択肢が増えます。また、肉体的・精神的な健康があってこそ、さまざまなことが楽しめます。他人とのつながりがあれば、困ったときに相談ができ、また喜びを分かち合うこともできます。
また、「幸福」と「やり抜く力(=グリット)」との関係も注目されています。人生においては、先天的な能力も大切ですが、この「やり抜く力」が人生の大きな助けになることが明らかにされています。
経済学にほかの学問を取り入れて答えを探す
「個人」がどのように幸せになれるのかという問いかけの次の段階として、「それでは、どうすれば幸福な「社会」を実現できるのか」、ということを考える必要があります。しかし、こうした問いの答えは、従来の経済学の手法だけでは、すべてはわかりません。近年では、「行動経済学」という分野があり、従来の経済学に心理学の手法を取り入れ、より現実の人間に近い考え方や行動を予測する研究が盛んです。幸福の諸問題に関しても、経済学にさまざまな学問の手法を取り入れながら、より本質に迫った答えを探っているところなのです。
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東海大学 政治経済学部 経済学科 准教授 田村 輝之 先生
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